■東小区五輪塔(ひがしおくごりんとう)(加茂町東小)
東小区五輪塔は、加茂町東小の区有墓地に所在する石造の五輪塔です。五輪塔は密教の教理に基づいてつくられた形で、下から四角、丸、三角、半円、宝珠型を積み重ね、それぞれ地、水、火、風、空の五大(万物を構成する5つの要素)を表しています。木製や土製のものもみられますが、石製のものが一般的で、石造五輪塔の多くは死者の供養塔として造立されたものです。この五輪塔は表面に梵字(ぼんじ)を配しておらず、西大寺奥ノ院所在の叡尊廟塔(えいそんびょうとう)をモデルとする律宗系五輪塔と呼ばれるもので、鎌倉時代後期の様式を伝えるものです。石材は花崗岩(かこうがん)製で、様式の共通性から部材は当初からのものがそろっているとみられます。共同墓地全体の総供養塔として造立されたと考えられ、かつて西小の浄瑠璃寺とともに栄えた随願寺(ずいがんじ)が所在した東小地域の共同墓地を象徴する大型五輪塔であり、造立当初の姿を良好に残す貴重な事例であることから、令和4年度に市指定文化財に指定されました。
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