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自治体の皆さまへ

最期の日のわたしへ(2)

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京都府福知山市

急性期医療を担う福知山市民病院では、残された人生をどのように過ごすか、前もってご本人の意向を聞き、治療への不安や悩みに寄り添う「ACP」を大切にしたケアを行っています。これまで様々な患者さんの思いに寄り添ってきた山本看護師に、医療者としての思いや大切にしていることを伺いました。

※ACP
Advance Care Planning
アドバンスケアプランニング
将来の医療やケアについて本人を主体に家族や医療・ケアチームが繰り返し話し合い、本人の意思決定を支援する取り組み

◆あなたのことを、私たちに教えてください
山本千明(やまもとちあき)さん
福知山市民病院 がん看護専門看護師

○最期までその人らしく つらい話でも前もって相談
医療現場におけるACPでは、もしもの話ではなく、よりリアルに人生の最終場面を話し合う必要があります。
「死」と向き合う話をするのは、ご本人にとっても、私たちにとってもつらい話です。ですが、あるがん患者さんにあらかじめ話し合うことの大切さを教えていただいたことがあります。その患者さんに最期をどう過ごしたいか尋ねたところ、「心臓マッサージや人工呼吸器はいらない、最期は家でペットや孫と過ごしたい」というご意向とあわせ、「胸のつかえが下りてすっきりしたわ。誰かに言うとかなあかんと思とったけど誰に言うたらいいか分からへんかったんや」と話されました。別の患者さんでも、「死ぬまでに家に帰ってこんなことをしたいなんて、病院の人に話してもいいんやね。話を聞いてくれてありがとう」と言ってくださった人もいらっしゃいます。
こんな話をすると傷つくのでは、と思うこともありますが、前もって話し合っておくことは、最期までその人らしく過ごしていただくために避けては通れない道だと思っています。

○病院と在宅 ACPをつないで
福知山市民病院では、2017年から委員会を立ち上げ、様々な症例をもとによりよいACPの実現に向けて取り組んでいます。委員会は看護師や医者を含む院内のあらゆる職種で構成され、いつ、どこで、どの職員に対して患者さんからACPのお話があっても対応できる体制を整えています。
また、入院から在宅に切り替える場合、病院でお聞きしたご本人の意向を、訪問看護師など在宅サービスに関わるスタッフへつなぎます。がんや難病の患者さんが在宅に戻られる場合は、市民病院の医師や看護師など様々な医療者から成る在宅医療チームがご本人やご家族の思いに寄り添いながら在宅でより専門的な治療を行うなどして、患者さんが望まれる形で、最期まで安心して過ごしていただける環境づくりを心がけています。

○一人で抱えず誰かに相談を
一つの病気に対して治療法は様々です。本人の意向を聞いたり、家族などに代弁してもらうことで、私たちも患者さんに合った選択肢を用意できたり、サポートしやすくなったりします。この先残された時間の過ごし方などに迷ったり、悩んだりするときは、一人で抱え込まず、誰かに話してみてください。私たちが一緒に考えます。悩んでいること、あなたのことを私たちに教えてください。

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