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シリーズ 福知山の文化財 収蔵資料紹介(67)

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京都府福知山市

■石本遺跡出土「刻骨(こっこつ)」
福知山市教育委員会所蔵

石本遺跡は牧川が由良川に合流する付近に位置する遺跡で、昭和59年(1984)に、宮福線鉄道(現在の京都丹後鉄道宮福線)敷設とほ場整備に伴って発掘調査が行われました。宮福線牧駅周辺に広がる遺跡からは、弥生時代から近世にわたる各時代の遺構が見つかっています。
中でも、15棟以上の竪穴住居や集落を区画する幅約3m、深さ約90cmの大溝などは、6世紀後半から7世紀前半にかけて営まれた古墳時代後期の集落の一部とみられます。特に大溝からは、大量の土器のほかに、木製農具や木製祭祀具(もくせいさいしぐ)、黒漆塗(くろうるしぬり)の木製鞍(くら)(馬具のひとつ)、植物種子や動物の骨など豊富な遺物が出土しました。
写真の遺物(本紙参照)はその大溝から出土した祭祀具のひとつです。現存長25.5cm、太さは約3cm。鹿の角の表面を削り込んで加工し、側面に刻み目(沈線(ちんせん))が44本入っています。これは「刻骨」と呼ばれるもので、その性格は楽器説や卜骨(ぼっこつ)(獣骨(じゅうこつ)を焼き、亀裂の入り方で吉凶を占う占術に用いられた骨のこと)説、農耕儀礼に伴う祭祀具説など様々で、実際にどのように使われていたのかは謎のままです。ただ、刻骨の出土例は全国でも珍しく、とても貴重な資料です。
古墳時代の石本遺跡の周辺には、牧正一古墳(府指定史跡)や弁財1号墳、道勘山古墳群など、大型の横穴式石室を持つ後期古墳が分布しています。これらの古墳と同時期に営まれていたとみられることから、造墓活動など古墳群との密接な関わりがあると考えられる石本遺跡の古墳時代集落。一体どのような祭祀行為が行われていたのでしょうか。豊富な出土遺物は、当時のムラの暮らしをうかがわせる非常に重要な資料です。

問合せ:文化・スポーツ振興課
【電話】24-7065【FAX】23-6537

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