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特集 時を超えて 受け継がれる記憶

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京都府福知山市

■旧細見小中出分校が大阪・関西万博へ
1930年の建設以降、2002年まで子どもたちの成長を見守ってきた三和町中出の旧細見小学校中出分校が、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のパビリオンとして活用されることが決定しました。人々の思い出が詰まった木造校舎は、大阪・夢洲(ゆめしま)へ移設され、万博のメイン展示施設として会場に訪れた人々を出迎えます。

三和町中出の山際に佇む旧細見小学校中出分校。昭和5年(1930)の建設時から閉校となる平成14年(2002)までの73年間、本校へ歩いて通うことが難しい中出、西松、田ノ谷地区の小学1・2年生の学び舎として、その役目を果たしてきました。

◆時を超えて、新しい「いのち」が吹き込まれる
そこで学んだ人だけでなく、誰もが懐かしさを感じるような木造校舎の趣が評価され、中出分校が、2025年大阪・関西万博の「シグネチャープロジェクト(いのちの輝きプロジェクト)」のパビリオンの一つとして活用されます。
パビリオンのテーマは、「いのちのあかし」。
映画作家で、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーの河瀨直美(かわせなおみ)さんは、中出分校を訪れ、「昭和初期より時代を超えて、人々に共有されてきた記憶が宿る美しい佇まいの建築」と話し、「これまで、大切にしてこられた場所であることをひしひしと感じました。

パビリオンとして新しいいのちを吹き込みたい」と語っています。

◆世界中の人々とつながる対話シアターに
中出分校が生まれ変わるパビリオンは、訪れた人が世界中の人とつながり対話ができる「対話シアター」となります。対話できる相手は、互いに全く知らない、国籍や人種、文化の異なる人。
一度は役目を果たした小さな校舎が、新たないのちを吹き込まれ、世界中の人々とつながる場所として生まれ変わります。

大阪・関西万博に移設された中出分校は、他の建物と合築する形でシアターとして生まれ変わる。
移設されるまでは懐かしい校舎の外観を見ることができる。
(敷地内への立ち入りは制限されています)

■卒業生の記憶とともに辿る 中出分校の歴史
長年の間、多くの子どもたちを見守ってきた中出分校。自身も中出分校に通い、3人の子どもも同校に通ったという河野正一さんに、幼少期の記憶と万博への思いを伺いました。

◆たった2年間 それでも大切な思い出
「藤澤(ふじさわ)先生にはよく叱られてなあ」
三和町中出に住む河野正一(こうのしょういち)さんが中出分校に通っていたのは、今から65年前。同級生24人と過ごした学校生活で忘れられないのが恩師の存在でした。
「授業中、先生の話も聞かず、机に散らばった消しゴムのカスを一生懸命払っとったんや。そうしたら藤澤先生に、『正(しょう)ちゃん、今は掃除の時間やない』とぴしゃりと叱られて。ずいぶん昔のことやけど、叱られたことはよく覚えてるなあ」
中出分校に通った期間はたった2年間。先生に叱られた日々も、大切な思い出です。
河野さんは、当時の学校の様子について、こう続けます。
「懐かしいと言えば、急な雨降りに備えて学校に置いてあった貸し傘。和紙に油が塗られとって、大きく『中出分校』と書いてあったんや。雨の雫が当たると、ばんばんと鳴り響いて。雨の日の下校風景は、それはもうにぎやかなものやった」
そんな思い出の詰まった中出分校も、平成14年には閉校。現在は建物だけが残されています。

◆万博という大きなステージは卒業生としての誇り
「慣れ親しんだ中出分校の校舎が、万博という大きなステージで多くの人に見てもらえる、こんな喜ばしいことはない。誇りに思います」
河野さんは、思い出の詰まった校舎の新たな門出に、可能性を感じています。

「万博での展示をきっかけに、地元を離れた人にも地域の景色がよみがえるかも知れん。子どもや孫を連れて、『お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんはここで勉強しとったんやで』と記憶を受け継いでもらえたら、すばらしいことやね」

卒業生や地域に住む人々が長年大切にしてきた中出分校。その記憶は、校舎とともに、新たな場所で世界中の人々に受け継がれていきます。

◆20年前の廃校が万博へ 中出分校ヒストリー
○昭和5年(1930)
現在の場所に中出分校(分教場)が完成
12月1日、細見尋常小学校の分教場として完成。落成式が行われる。

○昭和22年(1947)
細見村立細見小学校へ改称
4月、学制改革により「細見村立細見小学校中出分校」に改称。同時に、三村組合細見中学校が開校。

○昭和30年・31年(1955・1956)
細見・莬原・川合が合併
昭和30年に3村が合併し、三和村に。翌年、町制施行により三和町が発足。

○平成14年(2002)
中出分校を本校に統合
3月16日、中出分校統合式典を行い、同31日をもって、細見小学校本校に統合。中出分校は学校舎としての役目を終える。

○令和5年(2003)
大阪・関西万博に活用決定
木造校舎の趣が評価され、2025年大阪・関西万博のパビリオンへの活用が決定。

年表出典:中出分校統合記念誌

問合せ:資産活用課
【電話】24-7038【FAX】23-6537

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