市の令和5年度各会計決算案が10月8日、市議会で認定されました。長期化する物価高騰への対応や、台風7号の災害復旧などに取り組むとともに、あやテラスをはじめとする公共施設の整備や子育て支援施策を積極的に展開。あらゆる財源を有効に活用し、将来を見据えたまちづくりを推進しました。
■過疎債活用し事業推進
一般会計の歳入は203億5443万円、歳出は202億7904万円で、いずれも前年度比6・1パーセント増。歳入は過去3番目、歳出は過去2番目の規模で、実質収支は52年連続の黒字となりました。
歳入のうち、自主財源の柱である市税収入は、48億8841万円で、同比4・3パーセント(2億314万円)増。企業の設備投資による固定資産税の伸びなどによるものです。市債は18億8910万円で、同比42・0パーセント(5億5880万円)と大幅に増加。事業の推進のため、財政措置が有利な過疎対策事業債(過疎債)を活用したことなどが要因です。
■施設の整備費など7億増
歳出のうち、施設整備などの経費である普通建設事業費は、30億5616万円で同比30・7パーセント(7億1815万円)と大きく増えました。昨年11月に完成したあやテラスや消防救急デジタル無線施設の整備など大型事業を行ったためです。また、地方創生臨時交付金など国の財源を活用し、地域経済の活性化に取り組むとともに、物価高騰の影響を受けた市民や事業者を支援。生後6カ月から15歳までの子どもを対象としたインフルエンザ予防接種費用の助成など、子育て環境の充実にも注力しました。このほか、昨年8月の台風7号による災害復旧事業費が3億89万円と、同比308・8パーセント(2億2727万円)増加しました。
◆会計別決算収支の状況
※端数処理(四捨五入)の関係で、本文記載の合計額が異なります
■財調取り崩しを連続回避
市債(借金)残高は、7億1109万円増の148億4192万円。公共施設の整備を進めたことで、2年連続で増加しました。基金(貯金)残高は、3億2202万円増え、65億7577万円。各種財源の確保などで、財政調整基金(財調)の取り崩しを6年連続で回避しました。
財政の弾力性を示す経常収支比率は、1・3ポイント上昇し、91・7パーセントでした。また、財政の健全性を判断する指標は「これ以上悪化すると危険」な基準を下回り、全て安全圏内。実質公債費比率は、同基準25パーセントに対し10・3パーセント。将来負担比率も、同基準350パーセントに対し95・7パーセントとなっています。
■特別会計も黒字決算
特別会計7会計の総額は、歳入91億3747万円、歳出89億3937万円=上表。実質収支は1億9810万円で、全て黒字または収支均衡でした。
公営企業会計のうち上水道事業会計が41年連続で黒字となりました。下水道事業会計は令和元年度の公営企業会計移行から連続で赤字。病院事業会計も、コロナ禍での受診控えの影響が残り、4年連続で赤字となりました。
◆財政用語の解説
◇経常収支比率
一般財源(市の裁量で使える財源)に占める福祉施策経費や人件費など義務的な経費の割合。率が高いほど、自由に使える資金が少ないことになります。
◇実質公債費比率
市債(借金)の額が適正かどうかを判断する数値。一般財源に占める借金返済額の割合です。
◇将来負担比率
市が将来的に負担しなければならない可能性のある、実質的な借金残高などを指標化したもの。一般会計に加え、各特別会計や第3セクターも含めた借金などを基に算出します。
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