■舞鶴の近代化遺産
日本の歴史が大きく変革したのは、幕末から明治時代に起こった文明開化だといわれています。西洋からさまざまな文化や技術が取り入れられ、全国各地で産業や交通、土木などが著しく発展しました。特に産業は機械化が積極的に進められて生産性が大きく飛躍し、全国的に地域の経済は大きく発展しました。その一方で、機械化とは無縁の産業しかなかった地域は、文明開化から取り残され、その一つが私たちのまちでした。
そのような舞鶴に大きな転機が訪れたのが、明治34年の海軍鎮守府の開庁です。軍港建設のみならず、それに関わる市街地の整備や鉄道の延伸、水道・電気の普及など、まちの姿から日常の営みまで、ありとあらゆるものが目まぐるしく変革していきました。舞鶴に遅れてやって来た文明開化は、海軍鎮守府による近代化に由来するといっても過言ではありません。
この時期に造られた現在の舞鶴のインフラの基盤の多くは近代化遺産と位置付けられており、それらは今も私たちの生活を支え続けています。
■埋もれた近代化遺産
市内には埋もれた近代化遺産が多くありますが、普段見慣れている建造物が貴重な近代化遺産であることを知らない人も多くいます。日本海側の国防の拠点といわれる海上自衛隊や海上保安庁、造船やガラス産業をはじめとした基幹産業の他、舞鶴工業高等専門学校や日星高校、赤れんがパークなど、かつて軍用地であった土地や建物は現在でも有効活用され、舞鶴の発展を支え続けています。
舞鶴市の「赤れんがのまち」は、近代化遺産を活用している先進都市として全国的に評価されていますが、それは、市役所周辺の旧海軍のれんが倉庫の保存・活用によるもので、市内にはどれだけの近代化遺産が現存しているのか、その実態はこれまで把握できていませんでした。
■データベースの作成と保存計画
市では今年度から、学識経験者や市民の代表で組織した舞鶴市近代化遺産保存審議会を立ち上げ、埋もれた近代化遺産の保存計画の策定に取り組んでいます。計画の策定を進める中で、審議会からの提案により、市民の皆さんも参画できる近代化遺産保存センターの創設も検討しています。
また、現時点で約460件をリストアップして、データベースを作成中ですが、まちの至るところに埋もれた近代化遺産があり、件数は増える見込みです。「歴史と文化を活かしたまちづくりによる郷土愛の醸成」「先人たちが培ってきたことの大切さを、次世代へ継承すること」を胸に刻み、保存計画の策定に取り組んでいきます。
■「東郷源水」の復活に向けて
担当:文化振興課
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