■本市の地域医療の変遷
海軍鎮守府が置かれた舞鶴市では、約10万人の人口に対して4つの総合病院が存在し、京都府北部の医療の要所として全国的にも大変恵まれた医療環境を誇っていました。
平成に入り、本市周辺の市町にも、中核となる病院の設置や機能強化が行われたことで、近隣市町からの流入患者が減少。さらに近年では人口減少と少子高齢化が進展し、市内公的病院の患者数は減少傾向が続いています。
このような中、本市の医療提供体制は、京都府中丹地域医療再生計画(平成24年国承認)に基づく「選択と集中」「分担と連携」を基本コンセプトに、市内の公的4病院に分散する診療機能や資源を選択し、集中することで、診療機能のセンター化を目指し、施設整備などを行ってきました(下表)。
■「地域医療を考える会」を設置
地域医療に対する市民の関心は高く、医療ニーズも高まりを見せています。このような中、医療を支える医療従事者の声をさらに伺いたいと、鴨田市長の呼びかけにより、昨年5月、舞鶴市長、舞鶴医療センター院長、舞鶴共済病院病院長、舞鶴赤十字病院院長、市立舞鶴市民病院病院長、舞鶴医師会長が一堂に会し、医療現場の現状や直面している課題について議論を交わす場として「持続可能な地域医療を考える会」を設置。昨年5月~今年1月にかけて計5回の会議を開催し、人材の確保や救急医療、災害時医療などについて活発な議論を重ねました。(関連本紙13ページ)
■「地域医療シンポジウム」を開催
持続可能な地域医療を考える会は、率直な意見交換を行うことも目的のひとつにしていたため、非公開で開催しましたが、どのような議論を行ってきたのかを市民の皆さんにもお伝えし、地域医療について考えていただく機会とするため、1月21日に「地域医療シンポジウム」を開催しました。第1部では、鴨田市長から持続可能な地域医療を考える会の中間報告として、これまでの本市における地域医療の変遷や、持続可能な地域医療を考える会で行ってきた議論の概要を説明。第2部では、市内公的4病院長と医師会長、そして京都府立医科大学皮膚科学教室教授であり、地域医療を担当される医療センター所長など、医療を支えていただいている方々に登壇いただき「医療現場の現状と今後の展望」をテーマに議論を交わしていただきました。
議論は、非効率な医師配置を伴う医療基盤によって医師不足や救急医療体制に課題が生じている側面があること、医療の安全や質の向上に加え、若手医師の育成に求められる環境などに及ぶと同時に、デジタル技術の活用や4月から導入される働き方改革など、時代の流れに関する洞察も加えていただき、来場者に実施したアンケート調査では、医療現場の現状や課題について理解が深まったとの意見や、約9割の人からシンポジウムは有意義だったと肯定的な回答が寄せられました。
■持続可能な地域医療の確保に向けて
今から約20年後の2045年には、本市の人口は5万8千人になると推計されており、今後の医療ニーズや、担い手の確保など、変化に応じた対応が求められます。10年後、20年後の未来でも安心して医療を受けられるように、将来を見据え、医療機能をどのように最適化していくのか、今後の分担と連携のあり方はもとより、再編や統合も選択肢に想定しながら、地域の実情に応じた医療提供体制をどのように築き上げていくのか、関係機関との連携を密にしながら、検討を重ねていきます。
市内医療機関の特徴的機能
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