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《特集》8月は同和問題啓発強調月間です〜自分を見つめてみましょう〜(1)

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佐賀県伊万里市

人には誰しも故郷があります。生まれ育った場所に、愛情や誇りを持って生活しています。言うまでもなく、人は生まれる場所を選ぶことはできません。あたりまえの話です。
それなのに、私たちが暮らすこの社会には、この『あたりまえ』のことを理由にした差別があります。生まれた場所や育った場所、住んでいる場所など、いわゆる住所で人の値うちに差をつける『部落差別』です。
部落差別は人生を奪います。例えば、優れた能力がありながら、就きたい職業への道を閉ざされたり、世間体を気にする周囲によって、愛を引き裂かれたりするなど、部落差別によって引き起こされるさまざまな人権侵害は『同和問題』と呼ばれ、人権の世紀と期待された21世紀においてもなお、日本における重大にして、最も深刻な社会問題です。
同和問題は「昔から言われているから」、「みんなが言っているから」という、周囲の意見に左右される日本人の悪しき風習によって引き継がれてきた、日本固有の人権問題と言われています。同和問題の解決なくして、日本における人権問題の解決はあり得ません。
8月は、同和問題啓発強調月間です。この機会に、自分を見つめてみませんか。差別をなくす第一歩は、自分と向き合うことから始まります。

■いま、あなたに伝えたいこと
◇差別とは
差別とは、差別をする人が自分に都合のいいことを正当化するために、理由にならないことを口実にした、命をも奪う言いがかりのことです。差別は、差別をする人がいるから起こります。つまり、差別をする人が、差別する理由を作っているのです。

◇差別は見ようとしなければ見えません
自分が知らないから差別はないと考えず、差別がどこに隠されているのかを見抜く力を身に付けることが大切です。そのためには、さまざまな学びの場を通して正しい理解と認識を深め、確かな人権感覚を育むことが必要です。

◇差別は自然にはなくなりません
「そっとしておけば差別はなくなる」、「知らない人に教えるから差別がなくならない」と考える人も少なくありません。いわゆる『寝た子を起こすな』という考え方です。聞いた感じ正しいように聞こえますが、この考え方が正論であるためには誤ったことを教える人がいないことが前提になります。しかし、そんなことはあり得ません。なぜなら私たちが生活する社会にはインターネットの普及によって、さまざまな情報があふれているからです。人は正しい知識を持たない場合、疑うことなく誤った情報を信じる傾向にあります。誤った情報に惑わされないために、同和問題を正しく知ることが大切です。

◇差別をなくすのは自分のためです
人は幸せになりたいと願っていますが、災害や病気、火事、犯罪、交通事故などさまざまな生活課題がその願いを妨げていて、差別もそのうちの一つです。差別をなくすことは、自分の幸せを守ることにつながります。

◇子どもの目線を大切に
素直な子どもの目線で社会を見ると、さまざまな矛盾が見えてきます。生まれた場所や住んでいる場所などを理由にして人の値うちに差をつける部落差別は、最も愚かな矛盾です。矛盾に気付いて自分の言葉で考えましょう。そのうえで子どもに説明できないことを見直そうとする姿勢が、同和問題の解決につながります。

◇あなたが変われば社会が変わります
『差別をなくす』というと壮大なイメージが先行して、ともすれば無力感に陥ってしまいますが、私たちが「自分にもできることがある」と思えたとき、同和問題は解決に向けて、大きく動き出します。なぜなら、社会は私たち一人一人でできているからです。あなたが変われば社会も変わります。自分を見つめましょう。差別をなくす第一歩は、自分と向き合うことから始まります。

■知っていますか部落差別解消推進法
平成28年に『部落差別の解消の推進に関する法律』が制定されました。理解を深めて、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に努めましょう。

◆『部落差別の解消の推進に関する法律』が制定された背景には、3つの深刻な理由があります。
(1)インターネットの普及によって部落差別が拡大し、悪質化していること
(2)就職や結婚に関する身元調査が後を絶たないこと
(3)解決したわけでもないのに『同和問題は過去の問題』という誤った意識が広がっていること

◆『部落差別の解消の推進に関する法律』の主な内容
▽部落差別は過去の問題ではありません
部落差別は許されない『社会悪』です。一日も早く解消しなければいけません。

▽部落差別の解消は私たち一人一人の課題です
部落差別は『差別される人の問題ではなく『差別する人』の問題です。一人一人が正しい理解と認識を深めることが必要です。

▽部落差別の解消は行政の責務です
国や地方公共団体は、部落差別の解消へ向けた効果的な施策を行います。

▽部落差別を受けた人への相談体制を確立します
部落差別の被害者が泣き寝入りすることがないよう、的確に対応できる相談体制の充実に努めます。

▽部落差別に重点を置いた人権教育および啓発を行います
部落差別を重点とした人権教育の推進を図り、あらゆる機会を捉えた啓発活動を行います。

▽これまでの取り組みの効果を検証します
国や地方公共団体は、これまでの取り組みの成果や問題点を検証し、今後の指針とするための実態調査を行います。

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