■『識字(しきじ)』を考える
『国民的課題』である同和問題の解決には、多くの人が関わり、差別を無くしていこうとする取り組みの中から、いくつも人権に寄与する活動を生み出してきました。その一つに『識字』があります。
識字とは『文字の読み書きができること』で『識字学級』は、1963年に、社会的な差別によって教育を奪われた人たちが、自主的に学習を始めたことがきっかけとなって開設されました。
国際的には1990年に『国際識字年』が制定されました。ユネスコによれば、この当時、世界には9億6250万人もの『非識字者』がいて、このことが、女性差別や経済的文化的差別に深く関わっていると警告しました。この問題を周知することが国際識字年の目的でした。
2015年になると、世界の識字率は91パーセントまで上がってきました。しかし、現代においても15歳未満で学校に行けない子どもは約1億人、さらに文字の読み書きが不自由な大人は約7億人にのぼります(Unescoプラットフォームより)。
わが国を見ると、2020年の文部科学省調査によれば、全国に自主夜間中学校が47校、識字学級・講座が543箇所あるとされていて、このことは識字学習の必要性がそれだけあるということを示しています。本県でいえば、本年4月に公立夜間中学校が開校しました。
国際連合は、毎年9月8日を『国際識字の日』と定めています。現在、わが国には、外国から来た人がたくさん暮らしています。「文字がわからないことで、さまざまな公共サービスを受けられていない」という声があります。
『識字学習』の必要性はさらに高まっているのです。
※このコーナーは、隔月のシリーズで掲載しています。これを手がかりに、家庭で人権・同和問題について話し合ってみましょう。
問合先:生涯学習課人権・同和教育係
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