昔から地域の文化や自然環境と深く結びつきながら発展してきた伝統工芸品。
職人たちは長年にわたり受け継がれてきた技術や手法を駆使して、ひとつひとつ丹念に作り上げています。その技と美しさで多くの人々を魅了し、深い感動を与えています。
また、伝統は受け継がれるだけでなく、時代に合わせて新たなデザインなども生まれ進化を続けています。
今、佐賀市の伝統工芸品が評価され、大きな話題となっています。
その豊かな芸術性と品質は、佐賀市の誇りともいうべきもの。
私たちが伝統工芸品の魅力を知り、未来につなげていきましょう。
今回の特集は、匠の技が光る佐賀市の伝統工芸品を紹介します。
◆SAGA2024 国スポ・全障スポで話題に
昨年10月に開催されたSAGA2024国スポ・全障スポでは、多くの佐賀市の伝統工芸品が選手へと贈られました。入賞者に送られる表彰状は「名尾手すき和紙」、メダルは「肥前びーどろ」が埋め込まれており、さらには副賞や記念品として「佐賀錦」や「諸富家具」が採用され、佐賀市の多様な伝統工芸品が全国に広く知れ渡りました。
◆皇室の方々が視察・体験
天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは名尾手すき和紙工房にて手すきを体験されました。
また、故寛仁親王の長女彬子さまは佐賀市歴史民俗館(旧福田家)にて手織り佐賀錦の体験をされました。
◆職人が守り続けている伝統の技 肥前びーどろ
佐賀市重要無形文化財に指定されている吹きガラスの工芸品。
最大の特徴は、宙吹き技法の一つで、国内で唯一守り続けられている幻の技「ジャッパン吹き」
です。原始的ながら高度な技術により、柔らかさと暖かさを感じさせます。鮮やかな色合いと、一つ一つ表情が異なるデザインは人々を魅了します。
副島硝子工業株式会社(肥前びーどろ)(道祖元町106)
◆300年以上の歴史を持つ 名尾手すき和紙
原料は、大和町名尾地区で自家栽培する梶の木を使用。
栽培から和紙ができるまでのすべての工程を行う唯一の手すき和紙工房です。
提灯紙や障子から、オーダーメイド製作まで、唯一無二の和紙で伝統と革新を追及しています。佐賀県重要無形文化財指定。
名尾手すき和紙株式会社(大和町名尾4674-1)
◆日本美術工芸品の白眉 佐賀錦
金、銀、漆を貼った特製の和紙を細く裁断したものを経糸、絹の撚糸を染色したものを緯糸として丹念に織り上げた工芸品。
すべてが手織りで行われる非常に根気のいる手仕事で、1日わずかしか織り進むことができません。
手織りのあたたかい魅力と和紙の持つ温もりの中にも、絢爛豪華で気品のある美しさがあります。
佐賀錦振興協議会(佐賀市歴史民俗館・旧福田家内/松原4-3-15)
2月8日(土)~3月9日(日)に開催される、第25回佐賀城下ひなまつり会場に伝統工芸品が出展します。製作実演や作品展示などを予定しています(詳しくは市報さが2月1日号に掲載)。
◆世界に誇る品質 諸富家具・建具
高い木工技術とオリジナリティあふれるデザイン性で、数々の賞を受賞し、海外からも高い評価を得ています。
海外輸出も積極的に展開し、「諸富家具」のブランド化にも力を注いでいます。
オーダー家具、創作家具、インテリア小物など住環境の変化に対応した多種多様な商品を製作しています。
諸富家具振興協同組合(諸富町為重529-5)
◆大胆かつ華やかな文様 鍋島緞通
300年以上の歴史がある日本最古の綿緞通で、昔ながらの木製織機を使い、経糸と緯糸ともに上質の木綿糸で一目一目を手で織り上げる工芸品です。熟練の職人でも1日に織れるのは数センチと、繊細な作業を繰り返し、1枚を作り上げます。
歴史と伝統を受け継ぎながらも、時代に合わせた変化=新しい文化も注目の一つとなっています。
オーダーメイド製作も行っており、暮らしの中で、鍋島緞通の深い魅力を身近に感じることができます。
株式会社鍋島緞通吉島家(赤松町1-28)
株式会社織ものがたり(柳町4-7)
本家鍋島緞通 吉島伸一鍋島緞通株式会社(大和町梅野209-1)
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