最近よく「ジェンダー」という言葉を耳にします。ジェンダーとは、社会の中で作られた「性別」のことで、生まれたときに決められた性別によって、役割や生き方を分けるような考え方です。「男らしさ」や「女らしさ」、「男は仕事」や「女は家庭」のように、固定的性別役割を当たり前のこととして育った世代も多いと思います。昭和生まれの筆者自身も、幼少期に祖父母からこのような言葉を言われていましたが、これに疑問を感じていませんでした。
それでは「アンコンシャス・バイアス」という言葉を聞いたことがありますか?アイコンシャス・バイアスとは「無意識な思い込み」「偏見」のことです。職業だと「看護師」は女性を思い浮かべ「警察官」は男性を思い浮かべる、男女の役割分担だと「家事」「介護」はお母さんの仕事と思う、血液型だと「A型」は真面目などです。
皆さんも何か思い当たることがありますか?日常生活での無意識な思い込みに注意しないと、知らないうちに周囲の「誰か」を傷つけることにつながります。法務省人権擁護局が作成している「人権の擁護」という冊子の表紙に『「誰か」のことじゃない。』と記されています。人権問題は「わたしのこと」で「あなたのこと」で「みんなのこと」なのです。日常のあらゆる場面で「あっそうか!これも人権なのか」と改めて気付くことがありませんか?「人権」はどこにでも存在しています。
さて表題のとおり、12月4日から10日までは「人権週間」です。21世紀は「人権の世紀」と言われていますが、その前の20世紀では、2度の世界大戦で悲劇が繰り返されました。そこで昭和23(1948)年、国連総会で「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として「世界人権宣言」が採択され、12月10日を「世界人権デー」と定めました。日本では昭和24(1949)年以降、毎年12月4日から10日までを「人権週間」として、全国的に人権啓発活動を展開し、広く国民に人権尊重思想の普及高揚を呼び掛けています。
しかし「世界人権宣言」が採択され、76年経過した現在でも、世界で戦争が繰り返されています。戦争のない平和な日々はいつ訪れるのでしょうか。筆者は啓発活動で「人権」について語るとき、子どもたちに対しては「命を大切にすること」「みんなと仲良くすること」と話していますが、毎日流れる戦争のニュースを、子どもたちはどんな気持ちで見ているのか、心が痛みます。
「命が一番大事」「命の重みは平等」だと誰もが分かっていますが、戦争は繰り返されています。一刻も早く戦争が終わり、世界が平和になることを願います。
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