「唐津の記念物」(34)
~唐津の史跡・名勝・天然記念物~
弁天島(べんてんじま)の呼子岩脈群(がんみゃくぐん)(県指定天然記念物)
呼子町の弁天島は、殿ノ浦と加部島の間に位置し、北の男島と南の女島の2島からなります。両島は干潮時に地続きになり、広大な海食台(かいしょくだい)をほぼ同じ方向に貫く数本の岩脈を観察できます。この特異な地形は、佐世保層群(させぼそうぐん)という堆積岩層(たいせきがんそう)に輝石安山岩質(きせきあんざんがんしつ)の溶岩が貫入(かんにゅう)したことで形成されました。
岩脈の幅は0.1~4m(北西部の岩脈が最大幅)あり、いずれの岩脈も周縁部は急冷により細粒状になっています。女島南部の岩脈は海食台上にデコボコ状に突出していますが、これは岩脈が周りの泥岩(でいがん)よりも硬いため、差別浸食※が行われた結果です。
弁天島には、佐世保層群に相当する砂岩層と泥岩層が分布しています。女島から男島に続く海食台には、砂岩層と泥岩層が互層(ごそう)していますが、この砂岩泥岩互層は、男島南部の東西方向の断層によって切られて塊状(かいじょう)砂岩へと変化しています。また、大小6本の岩脈が北北西ー南南東方向に集中して貫入し、岩脈群を構成していますが、男島南部の断層によって右方向に1.5mずれています。
※差別浸食:地質の強度が異なる場所で、軟らかい地層が風化・浸食され、硬い地層が残ること。
問合せ:生涯学習文化財課
【電話】72-9171
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