今年はSAGA2024国スポ・全障スポが開催される記念すべき年。多久市では弓道とスポーツクライミングの2競技を行い、国内最大のスポーツの祭典を盛り上げていきます。
新春鼎談(ていだん)と題した今回は、多久市緑が丘弓道場で、佐賀県弓道連盟の田原則夫会長と佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟の宮原敏明会長、横尾俊彦市長が国スポ成功に向けての道のりや期待を語り合いました。
市長:皆様、新年おめでとうございます。今年は遂にSAGA2024国スポ・全障スポ開催の年ですね。この鼎談を皮切りに、一緒に盛り上げていきましょう!本日はよろしくお願いします。
田原:あけましておめでとうございます。今日は新設していただいた多久市緑が丘弓道場での鼎談ということで楽しみにしておりました。どうぞよろしくお願いします。
宮原:新年おめでとうございます。初めて緑が丘弓道場へ来ましたが、広々としていて立派ですね。多久高校に九州クライミングベースSAGAも新設され、国スポへの期待が高まります。こちらこそよろしくお願いします。
■注目の2競技が多久市で開催
市長:多久市が舞台となる両競技は、どちらもユニークで多久市らしいものだと感じています。例えば弓道では、孔子の教えをもとにした「禮記射義(らいきしゃぎ)」の精神を大切にされていますよね。
田原:そうですね。弓道は、射は人柄・人格を表すと説いた「禮記射義」を軸とし、基本動作の「射法八節」に則って矢を射るスポーツです。28メートル先の的を狙う近的と、60メートル先の的を狙う遠的の2種目があります。
市長:人の道を育てるという意味でも重要な、伝統あるスポーツだと思います。他方、スポーツクライミングは新しいスポーツ。20年ほど前にクライミングウォールを多久高校へ設置する際に奔走(ほんそう)しましたが、完成以来目覚ましい進歩を遂げ、近年は特に地元の若い選手が活躍されていますよね。
宮原:おかげさまで多久高校のクライミングウォールでは多くの選手が練習し、成長してきました。国スポでは新たにできた「九州クライミングベースSAGA」を競技会場とし、制限時間内にどれだけ高く登れるかを競うリードと、複数のルートをいくつ攻略できるかを競うボルダーの2種目が行われます。
市長:日本のクライミング水準は世界的にも非常に高いとも聞いていますので、ますます楽しみです。ところで、凛とした立ち姿や所作の一つ一つが美しい弓道と、躍動感あふれる動きが熱気を誘うスポーツクライミングは、一見対照的にも見えます。
宮原:確かにそうですね。一方で、クライミングウォールに向かって登る時は、相手を意識するというより自分との戦い。「自分の登り」をすることに集中します。そうした試合への挑み方は、なんだか弓道と似ていませんか?
田原:似ていますね。弓道も弓を引いて矢を放つ一連の動きは、まさに自分との戦いです。
市長:仰るとおりです。どちらも相手がいる競技ですが、最大のライバルは自分自身。昨日より今日、今日より明日という具合に、自身と技を高めて試合に臨む点は相通じるところがあると思います。
■新たな競技施設が完成
田原:国スポなどの大会では仮設の弓道場を建てることが多いんです。そうしたなかで多久市は、九州に誇れる素晴らしい弓道場を建ててくださいました。天井が高いので弓を持ち歩いてもぶつからず、さらに選手と大会運営席との距離にもゆとりがあるので競技により集中できます。いろいろと要望を聞いていただき、感謝しかありません。
市長:喜んでいただけて良かったです。これまで多久市には弓道場がなく、体育館やアーチェリー場で練習されている様子を拝見してきたので、ぜひ整えたいという思いがありました。国スポを機に整備することを決意してからは出張先などの周辺にある弓道場を頻繁に視察しましたし、田原会長ともたびたび足を運びましたよね。
田原:そうですね。弓道場新設に関わるみなさんとともに宮崎県都城市や高知県、山口県などにも行きました。クライミングウォールも県の方で新設されましたよね。
宮原:はい。当初は仮設となる計画もありましたが、横尾市長から県に強く掛け合っていただいたこともあり、多久高校に国スポで行うリードとボルダーの2種目と、もう一つの種目であるスピードの3つのウォールを新設できました。
市長:これまで多久高校のウォールで練習に励んだ生徒たちがアジアで優勝し、また世界でも良い成績を残すなど、とにかく素晴らしい選手がどんどん出てきたので、ぜひ後押ししたいという思いがありました。また、スポーツクライミングは競技自体も進歩し続け、今までのウォールだけでは競技開催が難しかったんですよね。
宮原:そうなんです。新たなウォールは今の競技形態に対応できるので、本当に感謝しています。それどころか幅が広く、高さも十分。間違いなく日本一で、世界でも有数の素晴らしさです。日本山岳・スポーツクライミング協会公認の拠点施設にもなっているので、日本トップレベルの選手たちも練習や合宿に訪れますよ。
田原:弓道でもおかげさまで全国規模の大会が開催できるようになり、国スポのリハーサル大会として開催した「第70回全日本勤労者弓道選手権大会」では県内外問わず多くの来場者がありました。出場者も観客も、みなさん素晴らしい弓道場だと大変喜ばれていましたよ。
市長:こうして年齢も競技歴もさまざまな人たちが新施設に集ってスポーツに親しめるのは良いことですね。多久市内にあるそれぞれの施設を拠点に、新たな交流が生まれる機運も高まってきたように思います。
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