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【人権教育No.321】ともに生きる

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佐賀県多久市

■「大事な1個」
私が、家業の洋菓子店の仕事をしていた頃の話です。小中学校が、卒業生の給食最終日にケーキをプレゼントする行事があり、同じ日に3~4校から注文がありました。全部で数百個になりますが、ケーキに保存料などを使わないため、納品日の2日前にスポンジを焼き上げ、前日に仕上げの作業となります。
仕上げの作業をしていた私は、早く終わりたいという思いから、パッと見ではわからない程度ですが、いいかげんな仕上げをしてしまいました。すぐに気づいた親から烈火の如く怒られたのですが、疲れもあった私は「何百個の中の1個ぐらい誰もわからないからいいじゃないか」と文句をいってしまいました。
すると、親は諭すようにこう言いました。「お前にとっては何百個の中の1個でも、子ども達にとっては、思い出に残る大事な1個なんだ。ケーキを食べてくれるお客様を思い、1個1個丁寧に作らないといけない。それを、お前はわかっていない。」
私は、ハッとしていいかげんに仕上げたケーキをしばらく見つめたあと、丁寧に仕上げ直しました。私は、自分のことばかりで、相手のことを考える余裕がなくなっていたのです。
相手のことを考え、想像することは、さまざまな場面で必要です。どんな時も、想像することができる心の余裕をもちたいものです。

社会教育指導員 小松康之(こまつやすゆき)

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