■ひじり学園における学校教育の推進とその対策について 早田康成
▽議員
大町ひじり学園は、学校教育基本法に基づきその目的に沿った教育がなされてきたところである。人間関係・社会形成、自己理解、課題対応等それぞれの能力向上を育むことに目標を掲げ、すべての教科において教育がなされていることに論をまたない。
ただ、令和6年の全国学力学習状況及び令和5年度の体力・運動能力の結果からは、大町ひじり学園の教育の現状を分析し、その対策と改善の必要性を感じ伺うものである。
(1)大町ひじり学園における教育の大綱について
大町ひじり学園の大きな柱は、小中一貫教育とコミュニティー・スクールの推進を位置づけされている。
柱の一つ小中一貫教育においては、児童生徒に基礎的・汎用能力を育む教育として、「夢に向かって絆・全力・挑戦」を目標に掲げ、すべての強化領域で指導がなされていると考える。学びの目的を理解し、自己肯定感に繋がるものとして、どのような教育指導が有効であったのか伺いたい。
柱の2つ目、コミュニティー・スクールについては、学力面で佐賀県は全国平均を下回っている。県内では、大町ひじり学園の中学部は県平均を下回る教科もあるが平均並みも見られる。
しかし、小学部においては平均以下が毎年続いている。この小学部の学力が向上すれば、中学部に進級した際、学習意欲に反映され、全国又は県の平均値を上回れる成績が期待できるかと思うが、いかがお考えか。
また、この小学部であるが、担当する教員は一生懸命学習指導に取り組まれていることは承知している。しかし、児童の授業への取組み、生活行動は担当教員の指導範囲を超えており、相応の努力をしても解決できないところにある。
この点については教育委員会の今後の対処についてどのような考えであるかを伺いたい。
(2)運動能力の向上策について
文科省は「運動能力の高い子どもは、学習能力も高い」という結果を出している。中学部においては全国・佐賀県平均の位置にあり、また、平均を上回る結果も見られるが、ただ、小学部においては平均以下の学年も見受けられる。
学校内ではある程度の運動は確保されているが、家庭生活を合わせた1日の生活全体から見れば、運動時間が少ないように思える。このことについて学園ではどのような対策が必要と考えているか伺いたい。
子どもには運動する機会を与えることが必要であり、通学時の徒歩は極めて重要と考える。車での送り迎えなどは学校教育の範ちゅうではないが、1日の多くを学校で過ごしており、学校教育の延長線にあることから、PTAに運動の重要性を説明する機会を設けるなど、話し合うべきと考える。
(3)道徳教科化に伴う道徳教育について
本教科は、授業を行う立場、授業を受ける立場、それぞれの道徳観念は千差万別、答えは「これが正しい」と言えるものはない。
ただ、現代社会の中で考えさせられる事象で、親族が関係する致死傷害事件が全体の54・7%に上っているということにある。事情はともあれ、これは道徳の破壊、人間社会の崩壊につながっていくように思われる。このような社会現象の中で、ひじり学園として、どのような教育に重点を置いているか伺う。
▽教育長
(1)「夢に向かって絆・全力・挑戦」について、将来の夢や目標の調査で、まだ、明確な夢を持てていない子もいるようですが、その夢や目標につながる質問項目の「人の役に立つ人間になりたい」と思っているのは6年生で90%、9年生で97%、「地域や社会を良くするために何かしてみたい」と思っているのは6年生で87%、9年生で80%と県や全国と比較しても高い数値を示しています。
この心の面での教育、すなわち道徳的心情については、各教科をはじめ、学校教育全体で培われていくものです。そのためどのような教育指導が有効であったかは具体的には分かりません。
次に、小学部の学力が向上すれば、中学部に進級した際、学習意欲に反映され、全国または県の平均値を上回れる成績が期待できると考えるがいかがお考えかとの質問にお答えします。
大町ひじり学園の子どもの実態はどうかと申しますと、小学部の1年生は様々な場面で配慮を要する児童もおり、5年生まではなかなか落ち着かず担任はより良い学級集団作りに苦労をしているのが現状です。学級が落ち着かないと、当然のことですが、「確かな学力」を身につける環境は厳しいと言えます。
また、支援員の増員をしたらどうかという意見と受け止めましたが、先ほど申しましたように、年々、配慮が必要な児童が増加しています。小学部の教務主任や教頭や副校長が児童の対応のために職員室に不在ということが多々あります。児童一人ひとりに丁寧に対応し、誰一人として取り残さないため、管理職の支援も含め、今、学校が持っている力で鋭意対応しています。
(2)運動能力の向上について運動時間が少ないことに対して学校でどのような対策が必要と考えているかとの質問ですが、体育の時間は年間計画の中で系統的にしっかりと履修しています。
家庭生活の中での運動の時間確保については、学校からも教育委員会からも啓発していますが、それ以上のことは出来ていません。
通学時の徒歩通学に関しても同様です。啓発は町報でしました。PTA会長からは保護者が登録されているメール、いわゆるマチコミメールで徒歩通学の依頼も出されました。しかし一向に改善されません。
(3)道徳の教科化は平成30年から始まりました。ひじり学園では今年度の重点項目として3つ挙げています。1つは学力向上の推進と教育DXの推進、2つ目が道徳教育の推進と志共育の推進、3つ目が特別活動の推進と大町型体育の推進です。年間計画に従って着実に指導を重ねていきます。
思ったり考えたりしたことを何でも安心して言える学級集団であれば、更に学力が高まります。
今後も知・徳・体の向上を図り、児童生徒の幸せな人生につながるよう教育委員会として学校と協力して取り組んでいきます。
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