■第77回全国茶品評会
今年8月に開催された「第77回全国茶品評会」において、嬉野市から出品された蒸し製玉緑茶、釜炒り茶の2部門で農林水産大臣賞(個人の部の最優秀賞)を獲得しました。また、産地の部でも産地賞1位を受賞。2茶種でのダブル受賞は11年ぶりで、うれしの茶としてのブランド力の底上げが評価された形となりました。今回、個人の部で農林水産大臣賞を受賞した2組の茶農家にお話を伺いました。
○蒸し製玉緑茶の部
父の丁寧な仕事と気配りを見習いながら若手農家で力を合わせてうれしの茶を発信
嬉野銘茶塾 三根 孝之さん
蒸し製玉緑茶の部で農林水産大臣賞を受賞した三根孝之さん。前回10年前に受賞したのは父・孝一さんで、親子での最優秀賞獲得となりました。「約3年前に茶畑を引き継ぎ、そこから日本一を目指して試行錯誤を重ねてきました」と振り返る孝之さん。被覆の方法や肥料の使い方、収穫時期などを細かく工夫しながら、さらなるおいしさを追求しています。今回は品評会に向けて、高品質な茶葉の手摘みを実現。「地元のたくさんの方々に手伝っていただいたおかげなので、嬉野としてのダブル受賞、そして5年連続の産地賞はより一層嬉しいです」と笑顔で語ります。
現在も孝一さんと親子で茶農家を営む孝之さん。父の丁寧な仕事ぶりと、茶畑への細やかな気配りを見習いながら、さらなる茶業界の発展を地域レベルで目指しています。その一環として、若手農家がうれしの茶とメッセージが書ける郵送パッケージをセットにした商品を販売する「グリーンレタープロジェクト」を主催。幅広い世代の人たちがもっとお茶を身近に感じられるよう、嬉野の若手茶農家たちと力を合わせています。「今回こうして日本一を獲れたことで、さらなる販売に繋がれば」と話す孝之さんは、うれしの茶の新しい可能性を見据えています。
○釜炒り茶の部
夫婦二人で知恵を絞り、力を合わせながら先代から受け継いだ茶畑を大切に育てていく
嬉野南部釜炒茶業組合 山口 孝子さん
釜炒り茶の部で農林水産大臣賞を受賞した山口孝子さんは、夫の正美さんとの夫婦二人三脚でお茶を栽培しています。もともと会社員をしていた二人の転機となったのは、11年前に正美さんの父が病に倒れたことです。「茶農家をしていた父が倒れたのは1月で、大切に育てていた茶畑は春から新芽が伸びてくるような状況でした。とりあえず自分たちが代わりに茶摘みをしなければという思いで受け継ぎ、あっという間の11年間です」と正美さん。現在も平日はサラリーマンをしながら、土日にまとめて茶畑で作業する兼業農家として営んでいます。
ほとんど手探りの状態からスタートした茶農家としての生活。残された農業日誌やJAの指導、他の茶農家のアドバイスをもとに孝子さんがスケジュールを組み立て、正美さんと土日にまとめて作業を行います。「もう毎週末、いろんな作業に追われっぱなしです。まさか嫁にきた時は、茶農家になるなんて思ってもいませんでした」と笑う孝子さん。苦労しながらも、日々確かな手応えを感じられる畑での仕事が性に合っているそうです。「これからも夫婦で力を合わせて、受け継いだ茶畑を大切に育てていきたいと思います」。
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