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「特集」嬉野市在住 桜田光さん『角川春樹小説賞』受賞

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佐賀県嬉野市

嬉野市在住の桜田光さん(ペンネーム)が、古典絵画の復元模写に挑む美大生を描いた小説『真令和復元図』で、第16回角川春樹小説賞を受賞されました。受賞作は10月に発刊されることが決まり、小説家として大きな一歩を踏み出す桜田さん。デビューを前にその素顔に迫ります。

◆今回受賞されて、率直なお気持ちをお聞かせください。また、受賞の喜びを誰に一番伝えたいですか?
受賞して私が一番びっくりしています!自分の力を試してみようと思って、ほぼ初めて小説の公募に応募したんですけど、まさか受賞できるとは思っていませんでした。短編小説を書いたことはあったけど、今回のようにきちんと公募の規定に沿って、原稿や、あらすじを作成できたのは初めてだったんです。
応募したことは母には言っていましたが、母も受賞するとは思っていなかったようで、一緒に驚きました。もし、祖母が生きていたら、一番喜んでくれただろうなって思います。

◆今回の執筆にあたり、一番大変だったのはどんなことですか?
小説の公募って、原稿用紙の枚数制限があるんです。初めて長編小説を書いた時は物語がどんどん膨らんで、制限枚数にまとめるのが大変でした。文字を削除しようと思ったら、登場人物がたくさんいるので、削除しすぎても意味が伝わらなくなるし。今回は予想通りの長さで書き終えることができました。
名古屋に推し活しに行った時にたまたま名古屋城を観光して、そこで「復元模写」を知りました。まったく知識がなかったので、最初は小説にできるか不安でした。なんたって、まだ誰も小説にしていない題材だったので。でも、だからこそ新人賞にふさわしい題材だと思いました。
いろいろ調べるのは面白かったし勉強になったけど、全て1人でやらないといけなかったのが大変でした。

◆何歳のころから小説を書いていらっしゃるんですか?
文章を書き始めたのは、大学生のころからです。もともと小説を読むのは好きだったので、中学生のころからたくさん読んできました。ただ「小説を書く」という概念はなくて。最近はインターネットで自分の書いた小説をアップしたりする環境もあるので、不特定多数の人に自分の小説を読んでもらう場は多くあるんですが、私の場合は、公募の方にチャレンジしてみようと思いました。29歳の時に応募を始めて、今回書いた自作の長編2作目で受賞できました。

◆どんなところに小説を書く魅力を感じていらっしゃいますか?
小説を書いているととても楽しいんです。書くことに没頭できて、あっという間に時間が経っています。ストレス発散になるというか、書き終わったあとのハイになる達成感がやみつきになります(笑)。私の場合は、物語の始めと結末だけを決めて、その間のストーリーはあまり決めていないんです。書き進めながらストーリーができあがってきます。その中でつじつまを合わせながら仕上げていくのがとっても面白いです。

◆桜田さんの小説を書くスタイルはどんな感じですか?
普段の生活の中で自分の周りに起こることを、「あ、これ小説のネタになりそう」って意識して生活しています。
なんとなく書きたい題材が決まったら、それについて資料を集めたり、取材をします。私は現代小説を書くので、自分たちが生きている世界でこんな物語があったら、と想像するのが楽しいです。
あと、私の場合は、「机に向かって小説を書く」というよりも、就寝前や移動時間を使ってスマホのメモアプリに書く感じです。それである程度まとまったものをパソコンに入れ直して推敲していきます。まさに現代っ子って感じですよ(笑)。

◆小説を書くうえで、嬉野で過ごした幼少期が影響していることなどはありますか?
さっき「読むのは中学生のころから好きだった」と話しましたが、小説との出会いは、忘れもしない、嬉野中学校の国語の時間だったんです!学校の図書室で本を借りて読む授業があったんですけど、そのときに、『空色勾玉』という本に出会いました。本が置いてあった場所までよく覚えています。吸い込まれるように本に没頭して、あっという間に読み終えて。それが2巻までしか図書室になかったので、3巻目は自分のお小遣いで買ったのを今でも鮮明に覚えています。

◆今は10月の本の発行に向けて修正作業を進めていらっしゃるとのことですが、今の心境をお聞かせください。
小説家として、右も左も分からない私にいろんな有識者の方が関わってくださっていて、30代になってこうやって全力で打ち込めていることが自分でもすごいなって思っています。今まで関わることのなかった職業の方とつながりが持てるので視野も広がります。原稿の推敲作業は大変ですが、自分が書いた小説が「本」になるのがとっても楽しみです!

◆将来どのような小説家を目指していらっしゃいますか?
嬉野に帰ってきたタイミングで受賞して、小説家としてデビューできることに深い縁を感じています。なので、現代に沿ったストーリーで、私自身が感じた嬉野のまちや人の魅力をいつか小説にしてみたいなと思っています。大学時代から福岡で過ごして、久しぶりに嬉野に帰ってきたとき、おしゃれなカフェができていたり、「うれしの茶」ひとつにしても広告の仕方が変わっていたりして、何だかとてもうれしかったんですよね。デビュー後は、まちで会った人に気軽に話しかけてもらえるような距離感で小説家をやっていきたいです。

◆嬉野の方にメッセージをお願いします。
普段小説を読まない方や、最近小説から遠ざかっている方にもぜひ読んでほしいです。「復元模写」を通して、主人公が成長する姿を書いています。「復元模写」という一見難しそうな内容をモチーフにしていますが、全く知識のなかった私がいちから書いているので、理解しやすい構成になっています。私の本が、読み終わった後の達成感や、小説の世界にいる間、現実逃避できる感覚を楽しむきっかけになったらうれしいです。

●桜田光さんプロフィール
嬉野生まれ、嬉野育ちの32歳。大学卒業後、福岡で薬剤師として働きながら作家塾に通い、小説の腕を磨く。昨年帰郷し、プロ作家の通信添削講座を受けながら書き上げた小説『真令和復元図』で第16回角川春樹小説賞を受賞。受賞作は10月に発刊予定。
▽発刊時は改名、改題されます。詳細は、市報うれしの10月号でお知らせする予定です。

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