明けましておめでとうございます。2025年が皆様にとって素晴らしい一年となることを心より願っています。
旧年は国民体育大会から名称を改めて初めてとなる「SAGA2024」国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催されました。嬉野市においては、レスリング、なぎなた、軟式野球、ボッチャ、スポーツチャンバラ、武術太極拳、電動車いすサッカーと実に7競技で熱戦が繰り広げられました。市民ボランティアのべ400人のご協力を得て、全国よりおいでいただいた選手・チーム関係者や観客の皆様に心尽くしのおもてなしを差し上げることができました。大会運営や機運醸成にご協力いただいたすべての皆様に深甚なる感謝を申し上げます。この経験をレガシー(遺産)として、次世代選手の育成や競技の普及・振興、おもてなし文化の継続・発展に努めて参ります。
さらに昨年は能登半島地震が元日に発生する波乱の一年でもありました。夏場の豪雨災害も重なったこともあって復興に向けての道のりは大変遠く険しい現実があります。災害関連死が平成28年の熊本地震を上回ったことは、被害の深刻さだけでなく、地域の担い手不足により相対的に「孤独」を抱える方が増えたことも要因ではないかと考えます。嬉野市としても被災地に幅広い支援を行いつつ、平時の備えとして「孤独」に寄り添う市政を目指していく気持ちを新たにしました。
本年は嬉野市にとってさらに大きく動き出す1年となりそうです。嬉野市役所新庁舎建設が間もなく着工いたします。庁舎建設は単なる箱を新しくするというものではなく、堅牢な庁舎で市民の生命を守ることを第一に掲げ、デジタル時代を象徴する業務改革を劇的に進めていくきっかけとしたいと考えています。市民に向けてはオンライン手続きや窓口のワンストップ化で「行かない、書かない、たらい回しにしない」市役所の実現を目指し、職員においては自動化省力化を通じて生産性向上と付加価値の高い業務への注力を目指すものであります。物価高などで市民生活が厳しさを増す中での巨額投資であり、厳しい目が向けられることも当然です。だからこそ、市民に確かな実感を伴う生きた投資となるべく努力を重ねて参ります。
併せて塩田庁舎の利活用も最重要課題と位置付けて進めて参ります。庁舎統一による利便性の低下を招くことのないよう、証明書発行などの各種手続きや相談の窓口を確保した上で、きめ細かい対応を行うコンシュルジュ(案内役)を配置いたします。手続きのデジタル化も進む中でも「誰ひとり取り残すことのない」サービスの実現を目指します。さらに、新たなにぎわい創出に向けても動き出したいと考えています。現在、塩田庁舎等利活用基本構想の中でも(1)生活拠点の軸(2)文化・伝統・歴史・芸術を感じる場(3)デジタルを活用した魅力創出(4)子育て・福祉のサポート(5)世代を超えて人々が集う(6)塩田の魅力発信―の6つのコンセプトを打ち出しています。今後は検討委員会と協議を重ねつつ基本計画をまとめ、魅力ある拠点の青写真を提示する運びとなります。住み慣れた地域で自分らしく生を全うする―。誰しもが願う理想の実現に向けて力強く邁進いたします。
引き続き次世代の人づくりも未来への投資として重点を置いて参ります。教育・子育てについてはソフト面では、1人1台のパソコンがある環境を生かした「オンライン英会話」の取組に加え、英語検定へのチャレンジ支援もスタートしました。郷土愛を育む教育と併せて自らの考えを言語などあらゆる壁を越えて自分の言葉で伝えることができる人を育てていきたいと考えています。ハード面においても老朽化する校舎改築やバリアフリー化を進めています。
産業分野でも人づくりは重要です。特産の「うれしの茶」は全国お茶まつりで開かれた全国茶品評会において、「蒸し製玉緑茶の部」と「釜炒り茶の部」の両部門で農林水産大臣賞と産地賞のダブル受賞を2年連続で果たすことができました。先人が切り拓いた茶畑を守り育ててきた生産者の皆さんに敬意を表するとともに、名実ともに「品質日本一」を掲げて販路拡大に努めていく所存です。
令和8年には全国お茶まつり佐賀大会が佐賀市で開催されることが決定しました。本年は大会開催に向けた機運の醸成を通じて、「うれしの茶」の未来につながる人づくり、産地づくりを加速していきたいと考えています。塩田町で整備を進めてきた施設園芸野菜の団地化事業では、「スマートアグリ宮ノ元」は「完売」の見通しが立ったため、今後は事業拡大に向けて検討を進めます。地域内外から確かな技術を身に付けた人材を集積することで、農業の成長産業化に大きく舵を切っていきます。「肥前吉田焼」の次世代人材育成プロジェクト、移住者の創業支援も積極的に展開します。
半ば私事で恐縮ではありますが、私は昨年10月に旅行商品の造成が可能となる国家資格「国内旅行業務取扱管理者」を取得しました。観光で地域経済を活性化すると同時に地域の魅力を発信することで市民としての誇りを呼び起こす―。塩田津の重厚感ある歴史や不動山のキリシタン史跡など、これまで旅行社が商品化してこなかった地域の本質的な魅力を発信できるツアーを組みたいと考えています。鹿島・太良の有明海沿岸地域や連携を強めている武雄・有田、県境を越えて西九州新幹線沿線地域など、観光の結節点としての嬉野市の存在感を高める取り組みの一助となることを願っています。
「うれしいを、いっしょに。」―。本年も皆様とともに「うれしい」ことを数多く創り出し、分かち合う一年にしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
令和7(2025)年 元日
嬉野市長 村上 大祐
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