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市民病院だより

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佐賀県小城市

■小城市民病院における新型コロナウイルス対応のまとめ
感染管理特定認定看護師
永渕智寛(ながぶちともひろ)

○はじめに
令和元年12月、中国で発生した新型コロナウイルス(以下新型コロナ)は、パンデミック(世界的な流行)ウイルスとなりました。
発生当初は未知のウイルスであり、多くの医療機関は受け入れを躊躇(ちゅうちょ)していました。
しかし、当院は公的医療機関としてためらうことなく、令和2年1月には外来患者を受け入れ始めると同時に、入院患者様やスタッフの安全を確保しつつ入院を受け入れるための準備を始めました。
同年2月に県内で初の感染者が検出。4月上旬までには累計8人の感染者が検出され(いわゆる第1波)、江里口市長から入院病床確保の依頼があり、同月から入院受け入れを開始しました。

○受け入れ開始に際して
当初、新型コロナに対する差別的な扱いに対し、スタッフとその家族も大きな不安を抱いていました。感染者の家に石が投げ込まれたり、新型コロナの受け入れ医療機関に勤めている職員の子どもが保育を断られたり、受け入れ医療機関の外来・入院患者数が減少したりとの報道に皆心を痛めました。

○入院患者受け入れの実際
〔当院の方針と役割〕
方針:
(1)新型コロナ感染者による死亡例を出さない。
(2)医療職への感染をおこさない。(医療体制を維持する)
役割:
(1)新型コロナ感染者の入院を受け入れる。
(2)一般患者の救命率を下げないために、高度医療機関の負担を減らす。

当院では、上記の方針と役割に加えて、患者様が長期隔離によるフレイル(虚弱な状態)を引き起こさないように、当初から個室隔離ではなくゾーニング(レッドゾーンは感染区域、イエローゾーンは準汚染区域、グリーンゾーンは非感染区域と区画で分ける)で対応しました。そうすることで、入院中も廊下などを使用したリハビリができました。
第1波の際は「2回連続のPCR陰性」が退院の条件であり、入院が2カ月以上に及ぶこともありました。そのため、他施設で1カ月以上入院された後に転院されてきた患者様が、当院のバルコニーで背伸びをして、「久しぶりに外に出た」と見せられた笑顔が印象的でした。
また、率先して入院を受け入れたことに対し、小城市議会から感謝状をいただけたことは、「地域には公立病院が必要だ」と言われているようで、スタッフ一同、嬉しく感じました。

○外部への支援
佐賀県内の新型コロナ感染者数の増大に比例して、入院を要する患者が増加、介護施設入所者の感染も増えました。
当院は地域連携の一環として、入院受け入れを開始する医療施設からゾーニングモデルとしての視察の受け入れや、医療・介護施設の指導やクラスター対応・研修を実施しました。

○公立病院の必要性
県内でも、今回のパンデミックのように感染者数が多い場合を想定した医療体制が構築されています。
令和7年に多久市東多久町に新設移転される「公立佐賀中央病院」でも、パンデミックや災害などの有事にも医療を提供できる施設を目指し、地域に必要とされる病院であり続けるよう、スタッフ一丸となって励んでまいります。

問合せ:小城市民病院
【電話】73・2161

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