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自治体の皆さまへ

アリタカラ通信-No.72

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佐賀県有田町

毎月、地域おこし協力隊の活動をお届けしています。今月は壱岐成太郎さんのコラムです。

■「ふるさと」のとある夜、カウンターにて
「なんで有田に引っ越して来たんですか?有田のどこが面白いと思うんですか?」
ある夜、仕事も遅くなり帰路につく途中、とあるお店にサクッと夕飯を食べに行った時のこと。お店の方が不意に自分のことをカウンターで隣に座っている20代半ばくらいの人に紹介してくれた。これが話し始めた直後に聞かれた最初の質問だった。彼の眼は純粋そのもので、「本当になんでこんな田舎にわざわざ写真をする人間が越してきたのか訳が分からない」と言わんばかりだった。
はやり病の真っただ中にこの町に住み始めてもう2年と4か月。初めは、自分にとって町の全てが新鮮で、ありのままの状態を受け入れていた。そして先ほどの質問を色んな方に何度も聞かれたが、その相手の眼には「何でまたこんな時に」という感情を時折感じることがあった。自分の返答は決まって「ある町に根付いた写真を撮ること、農家さんや伝統工芸の職人さんの暮らしなどに興味があったから。」という浅く表面的なものだったと思う。
彼の言葉は「地元からすると本当にやきもの以外何もないし、若いころから早く出たいなって…。」と続いた。面白かった。自分は今まで意見は違っても有田のことを面白くしたい、良くしたいと思う人たちに運良く出会い続けることが出来ていただけなのだと気付いたし、感じ方や考え方が違えば同じ町に住んでいても違う世界にいるようだと感じた。と同時に自分がふるさとにいた頃に思っていたことを思い出した。今、何が面白いと思っているか。ありがたいことにたくさんの人の顔や風景が浮かび、彼にどこから伝えようか迷い、そして彼自身も面白いのだと伝えたくなった。

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