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きままに神埼

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佐賀県神埼市

◆「国の名勝九年庵」
江戸時代は、仁比山護国寺の不動院だった九年庵、明治初期の神仏分離令で寺院は廃寺となりました。この寺院跡を購入したのが佐賀の大実業家の伊丹弥太郎ですが、実際に購入したのは父親の伊丹文右衛門ではないかと思われます。
不動院だった場所に別邸を建築したのが明治25年、庭園は明治33年から9年の歳月をかけて築き、その後に作った14坪の茶室に「九年庵」と名付けました。庭園は江戸時代に造られた不動院の跡地を利用して石垣と石段で上と下に分け、全体に低い石を庭石に配した平庭、南北に連なる2段の池、茶室、数寄屋づくりの別邸と実に巧みに配置され、奇をてらう事なく、自然に逆らう事なく、水が、大気が、上から下に自然に流れるように造られています。
上の庭園と下の庭園のどちらの段でも四季折々の自然が楽しめ、眼下に筑紫平野、はるかに有明海、さらにその先に雲仙岳が望めたのですが、残念ながら現在は、北と西にある切り立った山の木々が大木となって視界をさえぎっています。
平成7年に国の名勝に指定されますが、これは古い寺院の歴史の跡を継承して、明治時代の特色をもつ庭園と建築物がともに保存されている事、さらに周囲の自然環境や自然景観もよく維持されている事が、文化史上きわめて価値が高いという事からの指定でした。

文化財観光案内専門員
執行 真知子

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