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きままに神埼

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佐賀県神埼市

◆「お酒の始まり」
明けましておめでとうございます。
お正月という事で、今回はまずお屠蘇(とそ)の話を。お屠蘇は数種の生薬を配合した屠蘇散を、日本酒や味醂(みりん)につけた薬草酒で、無病息災や長寿を願って年の始めに飲むお酒です。
古代は神事に際して酒をつくり、神様や祖霊に捧げ、それにまつわる神事を営むのも、営む人々に酒を注ぐのも、そして酒につける肴などの献立をするのも女性でした。
女性がある種の霊力をもっているとしていた古代の人々は、女性を前面に押し立て、神様の意向を直接伺う仲介者、巫女(みこ)にしたのですね。
吉野ヶ里遺跡の主祭殿は13m四方に建てられた大きな建物ですが、ここの最上階は、この巫女によるお伺いの場所だという想定のもとに造られています。巫女の前に祖霊が下りてくる根付きの木があってここに供えてあるのが神饌(しんせん)です。すべて米と米から作ったもの「酒・飯・餅」が供えられました。
本来、お酒というのは、神事の前夜に一夜で造る「ひとよ酒」でした。神に仕える女性が、蒸した米を口に含んで噛み砕き、唾液の中の酵母で発酵させる「口かみ酒」で作ったものだったのです。醸造の醸は醸(かも)すといいますが、これは噛むが転じたもので「かみさん」は、飯を噛んで酒を醸す人ということから生まれた言葉です。
この神様に捧げて味わってもらった酒などの神饌(しんせん)を押し頂き賜(たまわ)って、神様と人が共に食することを「直会(なおらい)」といいますが、この直会は千年以上の時を経た今も各地に残っています。さらに「宴(うたげ)」という儀式は、右から小さい順に並べた五つの杯をひとりひとりまわし、飲む度に歌うというのが本来の宴で、この五つの杯につけるそれぞれの肴さかなを見立てることを献立(こんだて)と言いました。
このように本来、お酒とは神様のために厳粛に作り、飲むものだったのですが、時を経て段々神様とは無縁となり、みんなで楽しむものとなりました。
さあ、この一年が楽しく笑顔でお酒が飲める年になりますように歳神さまにお願いいたします。

文化財観光案内専門員 執行 真知子

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