◆「冬の郷土料理」
その昔から神埼や佐賀で冬のこの時期によく食べていた料理は、祖母や母の味です。懐かしい記憶につながる中からいくつかの郷土料理のお話です。
◇かけあい
大根やネギが甘く美味しくなる冬です。大根は短冊切りして薄塩を振り、ネギはサッと湯がき・・酢味噌(酢ぬた)を作って、酢でしめたイワシやサバ、アジなどの青魚と混ぜ合わせたのが「かけあい(かけあえ)」です。
青魚の独特の臭みを酢味噌がやわらげていました。
南部の千代田ではクリークのフナもよく使われていて、懐かしい故郷の味につながっています。
◇ふなんこぐい
大鍋に輪切りにした大きな大根やこんにゃく、親芋を入れ、昆布で巻いたフナを並べ「あめがた」と「すめ」でコトコトと半日ぐらい煮込んでいました。
「すめ」は自家製の古味噌を袋でこして汁をとったもので、ふなんこぐいにはぴったりの調味料でした。「あめがた」はもち米と水飴で作った長方形の平たい練り飴で、金立の徳永あめがたが有名ですが、石井ヶ里や二丁目にもあめがた屋がありました。
◇のっぺい汁
芋の子(里芋)やゴボウ、人参、こんにゃく、大根などの根菜や椎茸などをさいの目に切って、親鳥などの鶏肉で出汁を取りますが、法事の時や好みで椎茸や昆布を使いました。片栗粉でとろみをつけたのっぺい汁は、今よりもっと寒かった冬に心身ともに温まる汁物でした。
文化財観光案内専門員
執行 真知子
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