■伝統文化とサーカスが織りなす『命』の物語 その魅力に迫る!
市制施行70周年記念事業として、8月に市民文化会館で『日本伝統芸能×サーカス線香花火』を開催します。これは、2017年に誕生した、日本伝統芸能とサーカスを融合させた作品です。作品の見どころなどを、総合演出・プロデューサーの福本純さんに伺いました。
◇舞台『線香花火』の誕生のきっかけを教えてください
本作は嬉野市にある日本旅館・和多屋別荘の主催公演『箱庭の芸術祭』で、2017年に初上演されました。箱庭の芸術祭は同旅館代表・小原嘉元さんが「旅館を舞台に伝統芸能を支援したい」という思いでスタートした企画で、そこに私が福岡の商業施設で長年携わってきたサーカスを融合させ『日本伝統芸能×サーカス』が誕生しました。
『線香花火』というテーマは、福岡県みやま市にある筒井時正玩具花火製造所の映像作品からインスピレーションを受けました。この映像は本作の演出の一部としても取り入れております。線香花火の燃えゆく姿には“人の一生“に例えられる4つの名前(蕾・牡丹・松葉・散り菊)があるなど、400年続く伝統文化の奥深さを知るとともに「舞台を通じてこのはかなくも美しい世界観を世界中の人に伝えたい」と思ったのがきっかけです。舞台化にあたり、同社3代目・筒井良太さん、今日子さんにお話を伺った際、伝統の光を“守りながら磨く“その思いに感銘を受けました
◇これまでの公演実績や作品の進化を教えてください
今回3年ぶり6度目の公演となりました。これまで佐賀、福岡、鹿児島で上演され、回を重ねるごとに作品も進化を続けてきました。中でも、世界35カ国で活躍した元が〜まるちょばの赤モヒカン・ケッチさん、シルク・ドゥ・ソレイユ『ラ・ヌーバ(ラスベガス)』で5年半ロングラン出演を果たした船木勇佑さんなど、世界で活躍したアーティストが本作のアドバイザーとして参加し、表現の幅がより一層広がっています。
また、音楽には嵐、TOKIO、氷川きよしなど数々の著名アーティストに楽曲提供を行っている音楽作家・平義隆さんによるオリジナル曲が加わり、作品の世界観がより深いものとなっています。今回の鳥栖公演でも新曲が加わりますので、ご期待ください。
◇制作にあたって苦労するのはどんなところですか?
なんといっても、一番は『稽古』です。本作は16人の出演者がいますが、それぞれの活動拠点は九州、関東、中部、四国などさまざまで、今回も全員がそろって稽古ができるのは本番の数日前からです。それまでは、各地で個別の打ち合わせや稽古を積み重ねながらイメージを共有していきます。短い期間で実現できるのは、出演者の経験と技術、そしてそれを支えるスタッフの力、長年培ってきたカンパニー全体のチームワークがあるからだと思います。
◇見どころを教えてください
本作は『演劇的サーカス』セリフのない物語です。具体的でわかりやすい演技もあれば、見る人の解釈に委ねた抽象的な表現も出てきます。例えば、本編に登場する“2色のボール“や“椅子“の小道具は、物語の中でそれぞれ重要な意味を持っています。その意味を想像しながら観ることで、作品の世界観により深く入り込めると思います。
もっと気軽に楽しみたい人は、サーカスと日本文化の融合、全国から集結した各ジャンルのトップアーティストのパフォーマンスを観るだけでもぜいたくな舞台となっています。今年は鳥栖市民文化会館のみでの上演となりますので、どうぞお見逃しなく。
◇鳥栖オリジナルはありますか?
ほんの少しですが、市民の皆さんから募集した鳥栖市の街並みの写真を映像演出に取り入れる予定です。身近な景色が映し出されることで、物語の世界観により入りやすくなると思います。
また、今回初出演となるキャストが3人加わります。東京2020オリンピック閉会式に出演したジャグリング・森田智博さん、長年海外のサーカスカンパニーで活躍してきたシルホイール・油布直輝さん、本作初の空中芸となるエアリアルティシュー・長すみ絵さんです。新たな出演者と共に生まれ変わる『線香花火』が私も楽しみです。
◇鳥栖市の皆さんへ、メッセージをお願いします
鳥栖市市制施行70周年おめでとうございます。記念すべき年に『線香花火』を上演いただけることを出演者、スタッフ一同、大変光栄に思います。本作は年齢、国籍問わず楽しんでいただける舞台です。ぜひ、ご家族やご友人と足をお運びください。ご来場お待ちしております。
■福本純(ふくもとじゅん)
2002年より福岡県の複合型商業施設でイベントの企画・制作を手掛ける。2010年にキャナルシティ劇場の立ち上げ、2014年から同劇場副支配人として従事した後、2016年に株式会社インプレサリオを設立。福岡を拠点に九州全域で舞台公演の主催、企画プロデュース、劇場運営などを手掛けており、今まで多くの舞台(中村倫也主演『OUT OF ORDER』や高畑充希主演『宝飾時計』など)を本市に招へいしている。
■日本伝統芸能×サーカス『線香花火』
日時:8月25日(日)15時~(開場14時30分)
場所:市民文化会館大ホール
チケット料金(全席指定/税込):
※3歳以下入場不可
市内居住者4,000円
※公演当日に証明できるものをご持参ください、
・一般4,500円(ilex会員4,200円)
出演者(敬称略):谷口界(アクロバット)、森田智博(ジャグリング)、平井美玖(バトントワリング)、油布直輝(シルホイール)、長すみ絵(エアリアルティシュー)、高取優耶(椅子倒立)、宮窪研(炎舞)、藤間純六珠(日本舞踊)、中島美紀(書道)、米澤一平(タップダンス)、森永基木(津軽三味線)、みやざき都(箏)、山崎箜山(尺八)、崎田のどか(囃子)、西尾麻衣子(バイオリン)、尾崎由美子(ピアノ)
チケット取扱所・問い合わせ:市民文化会館
【電話】0942-85-3645
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