▽「人材の地産地消」のエコシステムを(※2)
市長:進学などで三田を離れた若者が戻ってこないことや、就職の際に三田から出ていくことは本市の大きな課題です。市内の企業からも「就職してくれる地元の学生が少ない」と聞いており、三田で育った若者が地元で働き、暮らし続けたいと思ってもらえる環境づくりにも注力したいです。
学長:神戸市との例では、本学と企業との連携で、地域課題を解決するビジネスを生み出して若者たちのスタートアップを支援しています。最近の若者には、大企業への就職よりも地元で起業したいという傾向も見られます。
市長:就職時のUターンだけでなく、子育ては三田でしたいなど、「こどもを核としたまちづくり」を風土として醸成させることで、三田に帰ってきやすい環境を整えることが人口減少問題への取り組みにつながります。また、子どもの時から地元への愛着心を育める環境をつくるため、三田に暮らす人たちに歴史や食、住環境など三田の良さを知ってもらう取り組みが必要です。
学長:このまちに帰りたいと思えるような働く環境を整備することも重要です。人が集まるまちの条件は、教育・医療・産業の3つが充実していることだと思います。その中で病院は医療人材を育てる機関であり、一大産業でもあります。地域を支える重要な中核的要素の一つです。
市長:本市でも包括連携の取り組みとして、昨年12月に中学生・高校生を対象に「三田で『医療で働く』キッカケをつかもう」をテーマにした医療人材発掘イベント「サンダ・キャリア・キャンパス」を実施しました。当初の定員を超える参加者が集まり、関心の高さが伺えました。
学長:今回参加した子どもたちに、医療を仕事として興味を持ってもらうことが大事であり、進路決定の動機づけになってくれればうれしい限りです。今後はこの取り組みと並行して、三田で育った子どもがどれくらい地元で医療関係の仕事に就いているのかを分析していくことも必要だと思います。
市長:神戸大学から三田市民病院に多くの医師を派遣いただいていますが、市民の安全安心を守る急性期医療(※3)を存続するためには医療人材の確保が急務です。
学長:今は医師が病院を選ぶ時代です。最先端の設備を備えた病院でなければ、急性期医療を支える若い人材は集まらないのが現状です。建物があるだけでは意味がなく、設備と人材を備えなければ、良い医療は提供できません。また、地元の医療に貢献したいという人材を、まちと大学が協力して育成する取り組みも大事です。
市長:将来、三田で活躍できる人材を育てることが私の使命だと考えています。学長利用者にも医療従事者にも選ばれる規模や設備を備え、人をひきつけるマグネットホスピタル(※4)でないと地域の医療を長く守っていくことは難しいです。新統合病院も、先端医療を提供でき、地域の人達がいつでも満足のいく医療を受けられる病院にしないといけません。そのためには、大学、自治体、地域の住民みんなで病院を守り育てていくことが必要です。
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