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歴史と未来の架橋13

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兵庫県上郡町

■クライモモ
この時期になると、青果売場には桃が並ぶようになりますが、鞍居地区には、野生のモモが自生しています。わたしたちが普段食用としている桃は、中国原産の桃を品種改良したものですが、鞍居地区のモモは日本原種のモモです。その名を「クライモモ」といいます。
クライモモは4月ごろに薄桃色の花をつけ、9月ごろに結実します。野生のクライモモの果実は梅の実よりも少し大きいぐらいのサイズですが、施肥(せひ)や剪定(せんてい)を行い管理すると、テニスボールほどの大きさになります。
果実は香りが良く、桃本来の甘味に少し苦味と酸味がある“大人なモモ”の味です。
昭和9年(1934年)に植物学者が鞍居村を訪れ、このモモを視察し、古くから自生する日本原種のモモであると判明しました。翌年にも訪れ、その時に採集した標本は、京都大学総合博物館に現存しています。
この時に訪れた植物学者は、田代善太郎(たしろぜんたろう)(1872-1947)ではないかといわれています。田代は福島県の出身で、東京高等師範学校では、NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』の主人公・槙野万太郎(まきのまんたろう)のモデルとなった「日本植物学の父」牧野富太郎(まきのとみたろう)(1862-1957)の教えを受け、植物学を学び、京都帝国大学で嘱託(しょくたく)として務めています。
「クライモモ」の命名は、牧野とも田代ともいわれていますが、残念ながら明らかではありません。
現在、クライモモは、鞍居地区ふるさと村づくり協議会によって大切に育てられ、果実は加工品として利用されています。今年の実り具合が楽しみです。

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