■山野里宿遺跡出土瓦質(がしつ)土器山野里宿遺跡はJR上郡駅の南西部に位置する中世の集落跡です。過去、道路改良工事などによって発掘調査が行われ、数多くの遺物が出土しています。
出土遺物は、土師器(はじき)や備前焼など中世集落でよくみられるものから、白磁や青磁、北宋銭、明銭などの輸入品も多くみられます。
山野里宿遺跡の中でとりわけ注目されるのが瓦質土器です。
瓦質土器とは、松葉などを燻(いぶ)して表面に油分を含んだ炭素を吸着させた土器の総称で、鍋や羽釜、火鉢などが大和国(やまとのくに)(奈良県)を中心に生産されましたが、西播磨地域でまとまって出土することがなく、この地域ではあまり流通していなかったと考えられていました。
ところが、山野里宿遺跡では、鍋や羽釜はもちろん、焙烙(ほうろく)、片手鍋、茶釜、茶瓶(ちゃびん)、火鉢などが大量に出土しました。
なかでも目を引くのが風炉(ふろ)と呼ばれる大型の火鉢です。直径が約60cmを測り、口縁部から脚部まで全形が判明している資料としては、近畿圏で最大級のものです。
瓦質土器を多く持つ山野里宿遺跡は、赤松氏のお膝元で栄えた主要な流通拠点の一つであったと考えられるのです。
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