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歴史探訪 シリーズまちかど文化財

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兵庫県丹波市

■六十六部廻国供養碑(ろくじゅうろくぶかいこくくようひ)
丹波市文化財保護審議会委員 山内順子

丹波市市島町下竹田の旧塩津峠近くで「六十六部廻国供養碑」が見出されました。
六十六部廻国とは、法華経(ほっけきょう)を全国の社寺に納めて歩くことです。
なぜ、六十六部なのでしょうか。現在は四十七都道府県と表現しますが、以前は丹波(たんば)の国くにや但馬国(たじまのくに)という国が日本全体で六十六部あるとされていました。一国につきお経を一部納めて全国を廻るには、書写したお経が六十六部必要だったのです。
供養碑は、廻国の達成記念として建てられましたが、中には道標や、他所から来た廻国者が亡くなった際の墓石を兼ねるものもありました。
写真の石碑は台座を含めた高さが約2メートルの大きなものです。現在は廃道沿いにあることから、限られた人しか知らず、詳細な調査はされていませんでした。
そこで、石碑の所在を知っている人と一緒に文字を解読してみました。正面に「南無妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)」、側面に「日本中に法華経を奉納して、偽りない心で供養を営むことは、四海泰平(しかいたいへい)・国家安寧(あんねい)・仏法の広宣流布(こうせんるふ)に寄与し、人々の苦しみを除き安楽を与える」という廻国の意義や願いが六十六文字の漢字で記されており、六十六部廻国供養碑であることが判明しました。さらに願主が日得(にっとく)という地元の僧侶であることと、建立が「元禄六年(1693)二月」であることが刻まれていました。
現在、市内では、六十六部廻国供養碑が十四基確認されています。今回、見出された石碑が最古であることがわかりました。
皆さんも近くの沿道にたたずむ石碑を見直してみませんか。新たな発見が刻まれているかもしれません。

問合せ:社会教育・文化財課(山南庁舎内)
【電話】70-0819

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