西はりま天文台だより

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◆第29回　こと座のリング星雲
梅雨が明け、ようやく夏の星空が見えるようになってくるこの季節、夏を代表する星座の一つに「こと座」があります。
ベガ(七夕の織姫星)はこと座の星で、夏の大三角の一つです。こと座には非常に有名な「リング星雲」と呼ばれる星雲があります。小さな望遠鏡ではうっすらと小さな丸い姿しか見えませんが、西はりま天文台のなゆた望遠鏡で見ると、宇宙空間に浮かぶ雲のような広がった姿を見ることができます。
このような天体は惑星状星雲と呼ばれますが、惑星とは全く関係が無く、実際には太陽のような比較的軽い星の最期の姿なのです。太陽も最期はゆっくりと膨らみ、中心に燃えカスを残して、広がったガスがこのような姿になると考えられています。広がったガスは、中心の星からの紫外線によって光っており、実は特殊な色で発しています。淡い天体なので月明かりの無い暗夜でなければ見るのも難しいですが、ぜひ一度自分の眼で見てみてください。

兵庫県立大学　西はりま天文台
准教授　本田敏志