■新春座談会 自然災害への備えを考える
◇THEME2 自然災害へのそれぞれの取り組み
市長:市では令和3年度から「防災部」という部署を作り、自然災害への対応を強化してきました。能登半島地震の時は、被災地で救助活動や給水活動などを行いました。市内での災害対策は、防災ポータルによる情報発信や企業との提携、地域の自主防災組織への補助などを行っています。昨年はひょう被害もありましたね。特設窓口の設置や罹災証明の発行などもしました。皆さんの高校では、災害に対してどんな取り組みをされていますか?
金原:加古川南高校では、防災を学び発信するチーム(SPR隊)を作り活動しています。近隣高校と協力してハザードマップを調べたり、地域の方々と一緒に避難訓練をしたりと学年や世代、地域を超えた防災教育活動を行っています。
小池:東播工業高校では、学んだ技術を生かした修理・修繕活動や、ロングホームルームの時間で防災を学ぶ機会があります。
河田:防災教育はとても大事です。小・中学校では避難訓練をしますよね。こんなときには避難しましょうと教わる。でも、大人はまだ大丈夫と思ってしまい、逃げ遅れる人が出てしまうのです。
市長:平成30年に市内に避難指示を出した時も、実際に避難した人は非常に少数でした。
河田:災害への備えには答えがないから、日頃の訓練や習慣がとても役立ちます。防災教育を受けたこどもたちが大人になったら、今と違った防災がさらに進むと思うんですよね。
議長:土のう作りや避難訓練などを高校生の時から経験した皆さんが各地域に住んでいるのは、地域防災を考える上でとても頼もしいですね。
小池:3年生は防災の建築計画授業も選べます
河田:「起こる」と思って行動することが大切!
◇CHECK2 加古川市防災ポータル
市内の気象や防災に関する情報をまとめて掲載している。
避難所の情報もここから確認できます。
くわしくはこちら(※本紙参照)
◇CHECK3 高校生の防災訓練
避難訓練の他、各学年がさまざまな防災学習を行う。体力・行動力などが小・中学生より高まり、災害時には共助の大きな力になる。
・消火器体験(加古川南高等学校)
・油圧式カッター体験(東播工業高等学校)
◇THEME3 個人・地域でできる自然災害への備え
市長:大きな自然災害が起きたとき、公的機関の支援には限界があります。市民の皆さんには日頃から備えていただき、いざという時の行動につなげることが大事だと思っています。
議長:阪神・淡路大震災では、7割弱が自助、3割が共助で隣近所の人たちの手によって救出されたと聞きました。まずは自分が命を守る行動をするということが重要ですね。
高田:家族で避難場所や防災グッズなどを再確認したいと思います。避難所で生活するようになると、女性は着替えや寝る時などに気を遣うと思います。また、男女関係なく、1人になれる空間があったらうれしいです。
市長:個室空間は大切ですね。市では段ボールの間仕切りやポップアップ式のテントの備蓄をしています。避難用の防災グッズは薬やベビー用品など、各自が必要なものを準備していただくと安心ですね。
河田:被害を減らすため、自分でルールを決めておくのも良いですよ。例えば、浸水に備えて普段から大切なものは高い場所に置いておくとか、外出するとき自分がどこにいるかを家族に伝えておくとか。ちょっとしたことでも習慣づけると、いざというときにその通りに動けます。自助がしっかりできれば被害は小さくなります。
山本:市内の危険な空き家の取り壊しや建て直しなどの整備が進むといいなと思います。地域の公園も避難場所に使えるのではないでしょうか。
議長:高校生の皆さんには今のような意見をたくさん出してほしいですね。公園という提案がありましたが、地域の集会所なども避難所として有益です。共助の部分では、日頃から地域での関係性を築くことが大切です。議会としても、地域の皆さんの声を聞いていきます。
河田:防災は自分事として捉えてみることが一番大切です。自分が被災すると、ボランティア活動も何もできないんですよね。高校生って、力があるんです。もし加古川が増水してあふれても、元気な人は走って逃げられますが、高齢者や障がいのある人はそうはいきません。例えば高校生の皆さんや地域の人々が「隣のおばあちゃんを助けなきゃ」という社会になれば、被害はさらに減っていきます。
市長:高齢者や障がいのある人たちを地域でいかに助け合えるか、そのための訓練も大切ですね。若い人たちの力も借りながら、市も「誰一人取り残さない」ために、さまざまな災害対策を考え、進めていきます。
◇考えてみよう!防災チェックポイント 定期的な見直しも大切です
・持ち物
家族構成や季節、持病など、今の自分に必要なものは?
・連絡手段
スマートフォンが使えないときの安否確認の方法は?
・避難
経路や家族との集合場所、ペットと逃げるときは?
くわしくはこちら(※本紙参照)
高田:家族でチェックしてみます!
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