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特集 中北歌舞伎、ここにあり 36年の幕が下りる、そのときに(3)

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兵庫県多可町

■中北歌舞伎、日本一!
▽たくさんの教えがそこにあった
笹倉恵美さん
(平成13年度卒業生 多可町播州歌舞伎クラブ員)
終わりと聞いたときは、ショックでした。終わることがあるんだ、っていう。
小学3年生で初めて舞台に立って、和歌若師匠が優しく「そう、そうや」って褒めてくれて。それがすごくうれしくて、今日まで播州歌舞伎を続けてこれました。
今、指導者の立場になって、改めて師匠のすごさを感じます。
私にとって歌舞伎は「教え」。
たくさんのことを教えてもらった大切な存在です。人数も減ってきてこの先不安もありますが、播州歌舞伎があったよっていうことを伝えていきたいです。

▽自分を認めてもらえる場所だった
内藤悠菜さん(平成17年度卒業生)
多可町播州歌舞伎クラブ員)
中北歌舞伎が終わるのは、率直に寂しいです。自分たちの自慢できるものがひとつ減ってしまったような気持ちです。
小学校の頃、和歌若師匠にすごく褒めもらいました。「それでいいよ」と、認めてもらえる場所でした。
今、歌舞伎を続けていて、この先の不安もたくさんあるけど、「私も播州歌舞伎がしたい」と思ってもらえるように、守っていきたいと思います。

▽中北歌舞伎、最後で最高の舞台
歌舞伎クラブ指導者 山根加織さん
(平成5年度卒業生 多可町播州歌舞伎クラブ代表)
小学3年生のときに、ベルディーホールのこけら落としで初舞台に立ちました。当時はとにかくただただ楽しかった。だからこそ続けてきたのかなと思います。
和歌若師匠の後を継いで、子どもたちに教えるという立場になって、伝えることの大変さを痛感しました。楽しいと感じてもらえるように、子どもたちがしんどくならないように、と常に心に置いていました。練習時間が少ない中で、本番大丈夫かな?と心配もあったんですが、本番当日も朝早く来て自主練をしていたと聞いて、すごくうれしかったです。
36年間の思いを込めて、これが中北歌舞伎や、というのをお客さんに見て帰ってほしいと子どもたちに伝えていました。それをあの子たちはちゃんとやってくれた。
中北歌舞伎が終わることは寂しいけど、最高の舞台で終わることができてよかったと思います。今、多可町播州歌舞伎クラブ、カブキッズたかを通して、人数が減る中でどうやって続けていくのかという、存続していくことの難しさを感じています。
そんな中でも、中北歌舞伎、カブキッズたかを経験した子どもたちが歌舞伎を愛してがんばってくれています。若い子たちがこの先も幸せに思って活動していけるように願っています。

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