■すべてがあなたの未来に繋がっている
松井小学校 篠原隆浩教頭
▽教師だからこそ
「本当に楽しかったですね」
すべての授業を終えた篠原先生は、真っ先にそうつぶやきました。
「これまでの金融教育をさらに自分なりにブラッシュアップできたと感じています。」
ファイナンシャルプランナーの資格を持つ先生は、子どもたちに還元できることはないかと考えたことが金融教育のきっかけでした。
「なんとなくお金のことって教育で触れにくい風潮があるんですが、ぼくは前に進むべきだと思っているんです。人生100年時代と言われている中で、子どもたちに少しでも自分の人生に直結する学びを与えたい。ただお金のやりとりを学ぶのではなく、すべての課程が大事で、学校だからこそできる学びがある。せっかく子どもたちが目の前にいて、長い時間をかけてマネジメントできるんです。マニュアルに沿ったものではなくて、子どもたちの個性やクラスの様子などに合わせた教育ができることが強みだと思っています。」
▽4年生には早い?
「4年生は、10歳という節目の年です。この時期に、未来を考えるっていうのは素敵なタイミングかなと。きっと、早いんじゃないの、という抵抗や反発もあるとは思うんですが、ぼくは早くないと思っています。」
子どもたちは最後まで本当に楽しそうでした。
「お金の教育もなんですが、起業家教育も盛り込んでいて、会社を起こすことの難しさや運営することの大変さ、社会との関わりなどを学ぶことはとても重要だと思っています。
日本の起業家教育や金融教育は海外に比べたら若干遅れがちなんです。小さいことですが、ぼくはそこに乗り込んでいきたい。会社やお金のこととか、社会との関わりを意識できる授業って、子どもたちにとっても身近。だからこそ楽しんでくれるんだと思います。」
授業の中で一番楽しそうだったのは、先生かもしれない。
「楽しくて仕方ないです。子どもたちが大好きです。
きちんと発表するところまでみんなでできたというのは本当にすごい。今回授業をしてみて、伝えるべきことをきちんと伝えれば、子どもたちはわかってくれる、十分やれるという手応えがありました。」
▽子どもたちに寄り添う
「プレゼンをして、思うように投資してもらえなかった班もある。そこで、ぼくはきれいごとのように『この結果が良くても悪くても自分のためになるよ。』とかいう言葉をかけるんです。でも、最後に『悔しい』と言った子がいた。その言葉でぼくはすごく気づかされたし、嬉しかった。負けたことを認められない思いを、教師が否定してはいけないなと思いました。」
先生は、授業の最後に黒板にある言葉を記しました。
「伝えたいことは、お金は大事だよ、ということではなくて、「自分を作るのは自分」だということ。誰に言い訳するではなく、自分が積み上げていくことが、あなたの未来に繋がっているんだということです。」
その言葉は、特集の最後に。
■もっとやりたい!終わりたくない!
最後の授業。
「もっとこうしたらよかったかな」子どもたちは、自分たちの会社の取り組みを振り返ります。
5月17日から8回。会社の立ち上げから投資までを悩みながらもやり遂げました。
まだまだ学びたい。そんなみんなに篠原先生は話しかけます。
「人に送った拍手は必ず自分に返ってくる」
▽すみれさん
みんなで協力しておかしを作ったことが楽しかった。
新商品の発表するとき、伝えるのが難しかった。
将来は自分で会社を作ってみたい!
▽ともるさん
みんなで会社を作ったことが楽しかった。
商品名やいい所、パッケージを考えたり、発表するのが難しかった。
将来は、お父さんが会社を経営しているので、跡を継ぎたい!
▽るりさん
商品名を考えたり、発表するのが楽しかった。
おかしの内容を考えることが難しかった。
将来、会社に入ったら、この勉強をいかしてお金を稼ぎたい!
■あなたならどの会社に投資しますか?
・サクサク塩ミルククッキー 令和(株)
・マスカットレモングミ カラフル(株)
・カリッとチョコぼう はとほり(株)
・ドラゴンフルーツキャンディー and チョコミルクせんべい KH(株)
・スーパーチョコバニラアイスクッキー スーパーかぶかぶ(株)
■起業家インタビュー
小谷直美さん
ランドグラフィックス代表
雑貨屋サン3ix経営
▽23歳で起業、やりたい!を形に
学生で金融教育ってすごい。私も参加させて欲しいくらいです。
子どもの頃からお金に触れる学びがあれば、自分が使うお金の価値観もきっと変わる。
中学校や高校でも、どんどんそういった学びをしてほしいです。商工会でやっている起業セミナーを、「子どもの起業セミナー」もやってみたらいいんじゃないかと思っているんです。
地元の高校生と出会ったときに、「地元には働くところがないから」と言うから、「じゃあ自分で起業したら?できるよ、土地もたくさんあるよ。」って言ったことがあります。
金融教育を通して、リアルを学ぶことで、自分の夢を具体的に考えることに繋がるかもしれませんね。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>