「SnowManが見たいっていうのから始まって。きっかけはいつも不純です。」
昨年11月に立ち上がった「多可町仲良し親子のドリームプロジェクト(以下、ドリプロ)」。
代表の赤松亜希子さんは、子育て世代の親子が楽しめるイベントがあればいいな、という思いから、ベルディーホールの住民企画自主公演事業を活用したコンサートを提案しました。
「手作りのちらしを配ってメンバーを募りました。」
何からすればいいのわからない。でも動きたい!夢を叶えたい!
そんな赤松さんの思いに賛同したメンバーが1人、2人と集まり、夢を実現するために動き始めました。
毎週のようにミーティングを開いて意見を出し合い、ようやく完成したちらしにはこう書かれていました。
『あったかおやこのドリームパーティー』
諦めなければ夢は叶う。
■協賛の依頼に奔走
住民企画自主公演事業では、事業に係る一部または相当額が助成されますが、あくまで自主企画のため、協賛を集めることで事業内容の幅が広がります。
赤松「協賛はそんなにがんばらなくてもいいよ、と言ってもらっていたんですけど、とにかく知って欲しい!という思いでした。」
メンバーは、子育て真っ最中のママばかり。協賛金を集めたことなんてありません。手探りの中、事業所に連絡を取り、協賛を募りました。
赤松「説明も慣れていないところからスタートしたので、めちゃくちゃしんどかった。お金をいただくことだからすごく緊張するし、辛いこともありました。大事なお金を預かって、期待に応えられるのかなというプレッシャーもありました。」
それでも、メンバーの思いに賛同してくれる事業所が増え始め、47事業所・個人(6月12日時点)の協賛が集まりました。
集まった協賛金は、イベントの中のあそびのコーナーなどで、子どもたちに還元できるように試行錯誤を重ねました。
メンバー「協賛がきっかけで初めて知ったお店もありました。こんなにいいお店があったんだ。また行こう!と新しい発見がたくさんありました。」
一生懸命思いを伝えて、「応援するよ」と言ってもらえたときは本当にうれしかったと赤松さんは話します。
◆ベルディーホールの「住民企画自主公演事業」って?
住民の自主的な芸術文化活動や地域文化の振興のために、住民による団体・グループの夢を応援する事業です。
▽申請条件
次のすべてを満たすこと
・多可町在住・在勤の人が代表者
・町民の文化振興に寄与する公演・展示事業など
・プロによって行う有料公演
・評議員会に申請して採択を得るもの
▽申請後のスケジュール
(1)出演者との交渉
(2)契約の取り交わし
(3)実行委員会の立ち上げ(約20人)
(4)ポスター・チラシ・チケット作成、当日の段取(運営方法など)
問合せ:ベルディーホール
【電話】32-1300
■SNSでの情報発信
赤松「SNSは見る専門!投稿するなんて全然興味ありませんでした。」
住民企画事業は、チラシやチケットの作成からチケットの販売PRも自分たちで行います。
プロを呼ぶという申請条件もあり、プロを呼ぶからには、チケットを売って集客をしなければいけません。
赤松さんは、情報発信のツールとしてインスタグラムを開設しました。
毎日のように投稿し、協賛事業所の紹介もなるべく早く、と夜な夜なスマホを握りしめて作業することも。
赤松「インスタグラムの管理を、今は1人でしているけど、1人だと感じたことはないです。メンバーがいてくれるから。」
■「推し」を呼ぶぞ!
赤松「お母さんたちの『推し』を呼べたことが何よりうれしい!」
その推しとは、NHK番組「おかあさんといっしょ」の元うたのおねえさん『小野あつこ』さんです。
子育て世代にとって、うたのおねえさんは永遠のアイドル。まさかベルディーホールでコンサートが実現する日がくるなんて。
チケット発売日には、4時間前から並ぶ人もあり、発売から約1カ月で、1階席はほぼ完売となりました。
「できるなら満席にしたい!」
メンバーの目がきらきらと輝きます。
■ママ友から友だちに
毎回のミーティングは、子育てふれあいセンターを借りて行います。
赤松「子育てふれあいセンターがあったから、ドリプロが生まれました。ここがなければ絶対にできなかった。」
最初は、顔見知り程度からスタートしたメンバーも、今ではかけがえのない存在です。
赤松「ママ友ではくくれない『友だち』です。弱音やドロドロした気持ちもぶつけられる。そして助け合える。子育てや仕事では得られないたくさんのことを学んだし経験できました。」
メンバー「苦手なことを補い合える、まさに特殊部隊!一緒に活動する中で、自分に何ができるだろうと心底考えました。前向きになれました。」
○○ちゃんのママ、から○○ちゃん、とお互いに名前で呼ぶようになったと話すメンバー。
赤松「自分の名前ができたような嬉しさ。自分のために時間を使っているんだと感じます。理解して協力してくれる家族にも感謝しています。」
メンバー「イベントの準備をしていたら、旦那が『今日も楽しそうやな』て言ってくれる。」
メンバー「子どもに、今日は何の用事?て聞かれて、『ドリプロ!』って言うんです。」
■子どもたちよ、ママの背中を見よ!
メンバー「自分の子どもに、自分たちの姿勢を見せたかったんです。諦めなかったら夢は叶うんだよって伝えたかった。」
メンバー「これまで、お母さん同士の繋がりとかもあまりなくて。でもドリプロを通して、友だちがたくさんできた。そうしたら、町のイベントに行くのも楽しくなりました。」
メンバー「そうそう!多可中学校になったら、みんなとまた出会うのが楽しみ!」
一枚のチラシから始まったプロジェクトは、数年後の未来を思いながら笑い合う場になりました。
メンバー「大変なこともたくさんあったけど、みんなで乗り越えてきた。過ぎてしまえばいい思い出です。」
コンサートまであと少し。チケット完売まであと少し!
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