■掴み取った日本一
「やったー!!!!」競技結果の速報を見ながら、1位の文字に手が震える。
7月28日から8月1日にかけて、福岡県で行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)。
陸上競技の男子4×400mリレーで、県立社高等学校陸上部が優勝に輝きました。
選手としてバトンを繋いだ、多可町出身の橋詰竜輝さんと山田那月さんを取材しました。
▽いつまでもおごらず謙虚に
橋詰竜輝さん(社高校陸上部3年生)
加美中学校出身で社高校に進学し、陸上部に所属。
個人種目400m、4×100mリレー、4×400mリレーでインターハイに出場。
「去年のインターハイで、自分の未熟さを感じました。冬季練習も限界を決めずに走り込んで今年の夏にかけてきました。
戦う準備はできています。」
6月の取材時、橋詰竜輝さんは、高校最後の夏に向け、自信を覗かせました。
1年生からずっと目指してきた全国優勝。
8月1日に行われたインターハイの男子4×400mリレー決勝で、橋詰さんは、1走でバトンを繋ぎました。チームは全国優勝、そして兵庫県の高校新記録を達成。言葉通り、頂点に立ちました。
「自信しかありませんでした。予選、準決勝と余裕を持って走ることができて、手応えを感じました。このメンバーだから大丈夫。3年間、ずっと前を見て走って行こうとやってきました。」
予選、準決勝とアンカーを走った橋詰さんは、決勝で1走目に。チームで目指してきた優勝への作戦でした。
中学校からの仲間である山田那月さんは3走目。
見事なバトンパスとチームワークは努力の賜でした。
「那月は、どんなときも競技に真剣に向き合っていた。一緒に高め合うことができる仲間であり、ライバルです。」
橋詰さんは、個人400mでも決勝に残り7位入賞、また4×100mでも7位入賞という結果に輝きました。
前へ前へ。
「走っていないと死んでしまう、マグロみたいなもの。」
中学校時代に話した言葉が頭をよぎる。
「大学に行っても、大人になっても走り続けたい。」
▽どんなにうまくいっても 満足しない 常に課題を見つけ続ける
山田那月さん(社高校陸上部3年生)
加美中学校出身で社高校に進学し、陸上部に所属。
4×400mリレーのメンバーとしてインターハイに出場。個人ではハードル競技にも力を注ぐ。
「去年のインターハイ後から、最後の夏は日本一を取るということを考えて練習してきました。」
インターハイ前の6月のインタビューでそう答えた山田那月さん。リレーはもちろん、個人競技のハードルでも全国を狙えると手応えを感じていた矢先、ケガをしてハードル競技を断念しました。
「悔しかったです。でも、リレーは一人じゃない。みんながいるから、全国の舞台に立つことができました。」
目指すのはもちろん日本一。
取材から1カ月あまり、宣言どおり全国の頂点に立ちました。
「後悔のないように楽しんで走ろうと思い、前半から攻める姿勢で挑みました。」
予選、準決勝は2走、決勝は3走を務めた山田さん。ケガを乗り越え、努力の先に掴んだ日本一でした。
「竜輝が、中学校からずっと前にいて、自分を引っ張っていってくれた。目標が常に前にあることが、めちゃくちゃ大きな存在でした。」
それでも、まだ個人競技への悔いが残る。
「大学では、個人種目で結果を残したい。」
努力なくして栄光なし。
栄光を掴んだ先に、また光を求めて前に進む。
▽次代につなぐ!
支えてくれる人に常に感謝
森安康太さん(社高校陸上部2年生)
加美中学校出身で社高校に進学し、陸上部に所属。
今回のインターハイでは、リレーの補欠メンバーとして同行し、選手を支えた。
中学校からずっと2人を追いかけ続けてきました。
今回初めて全国の舞台を見て、とても感動しました。
選手のレベルの高さも感じましたし、アップの仕方やプランの立て方など勉強にもなりました。
来年は個人でも近畿、全国を目指したいし、リレーのメンバーに選ばれるようにがんばりたいです!
▽人と一緒に高め合える 素直さと謙虚さを持っている
社高校 陸上部 顧問 山田真利さん
4×400mリレーは、常にインターハイに焦点を合わせて取り組んできました。チームワークを強化するために、バトン練習も延々と取り組み、他のチームと差をつけることを意識しました。
決勝での走順は、実は去年から決めていたんです。橋詰を1走目に選んだのは、次の選手のために少しでも差をつけてバトンを繋ぐという、彼の献身的な性格も考慮しました。また、早いバトンタッチが次の走者の加速にも繋がるので、一番早い橋詰をアンカーではなく1走目にしました。
優勝したときは、言葉にならない、こみ上げるものがありました。
2人は、競技力はもちろんですが、人としてもともと持っている人間的な魅力があります。
きっと優勝してくれるだろう、この子たちのためにがんばろうと思わせてくれる選手です。
個人競技では、それぞれ悔しい思いもありましたが、リレーで優勝したことは、仲間と共に高め合うことができるこの子たちらしいなとも感じます。
こういう選手こそ、世界で戦える選手になっていくんだと信じています。
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