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人権一口メモ No.257

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兵庫県太子町

■差別されない権利
6月末、東京高裁は、被差別部落の地名リストをインターネット上に掲載した出版社に対し、公開や書籍の出版を禁止し、賠償も命じました。1審に続き、「部落差別を助長する行為は許されない」と明確に指摘した判決となりました。
今回の判決文で何度も登場する文章が、「本件地域の出身等を理由に不当な扱い(差別)を受ける」でした。「部落差別の解消の推進に関する法律」はあるものの、差別を禁止する法律が存在していない現段階において、個人の尊重を保障した憲法13条や法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に鑑み、「差別されない権利」を明確に認めたことになります。
さらに、「不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送ることができる人格的な利益を有するのであって、これは法的に保護された利益であるというべきである」と明示されました。地名リストの公開は、居住者や出身者に不安を抱かせ、場合によっては、差別におびえる生活を余儀なくさせるものであり、こうした利益を侵害していると結論付けられました。
部落差別の解消は、日本社会の長年の課題です。法務省が2019年に実施した部落差別に関する調査では、「交際相手や結婚相手が同和地区の出身者かどうか気になる」と回答した人の割合は、15・8%(約6人に1人の割合)でした。身元調査を目的とした戸籍謄本の不正取得も社会問題となっています。
また、インターネットの普及により、誰もが情報の発信者や受信者になることができるようになりました。誤った情報、断片的な情報、興味本位な情報などが簡単に拡散され、その情報に接することで、差別意識が植え付けられてしまいます。そして、それらの情報は、完全に消去するのは不可能となってしまっており、差別の増長をもたらす原因の一つとなっています。
出生地や居住地を理由に不当な扱いを受けることは、決して許されることではありません。社会全体で差別の解消に取り組む必要があります。そのためにも、包括的な人権の法制度を整えることが、今求められています。

問合せ:社会教育課

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