生涯を通じて4人に1人がこころの病気にかかると言われており、現在、日本人のおよそ30人に1人がこころの病気で病院などに通院や入院をしています。
こころの「健康」に関心のある人は多くても、こころの「病気」となると自分には関係ないと思ってしまうことも少なくありません。しかし、こころの病気は誰もがかかる可能性のある病気で、私たちにとって身近なものです。
こころの病気は、本人が苦しんでいても、周囲からは分かりにくいという特徴があります。私たちは、骨折をしている人に重い荷物を運ぶことは頼まないでしょう。しかし、こころの病気の場合は、外から見ても気付かないことがあるため、知らないうちに無理なことをさせたり、傷つけていたり、病状を悪化させたりしていることがあるかもしれません。私たちがこころの病気を正しく理解することがとても大切です。
こころの病気になるときは、多くの場合、少しずつ病気のサインがでています。こころの病気の初期サインを知り、サインが出ていることに気が付いたら、早めに専門家に相談したり病院などを受診したりしましょう。
○次のような症状がサインの例です。当てはまることが続いていませんか?
・気分が沈む、憂うつ
・何をするのにも元気が出ない
・イライラする、怒りっぽい
・理由もないのに、不安な気持ちになる
・気持ちが落ち着かない
・胸がどきどきする、息苦しい
・誰かが自分の悪口を言っている
・何も食べたくない、食事がおいしくない
・なかなか寝つけない、熟睡できない
・夜中に何度も目が覚める
こころの病気は自分では気付きにくい場合があります。また、自分で不調に気付いていても、こころの病気だと思っていない場合もあります。その人らしくない行動が続いたり、生活面で眠れない、食欲がない、イライラして落ち着かないなどの支障が出ていたりする場合は、家族や友人、同僚など周囲の人が専門機関に相談するよう勧めてください。
○周囲の人から見て、以前と異なる状態が続いていませんか?
・服装が乱れてきた
・急に痩せた、太った
・感情の変化が激しくなった
・表情が暗くなった
・一人になりたがる
・不満、トラブルが増えた
・独り言が増えた
・他人の視線を気にするようになった
・遅刻や休みが増えた
・ぼんやりしていることが多い
・ミスやもの忘れが多い
・体に不自然な傷がある
◆こころの病気は回復しうる病気です
こころの病気には、うつ病、統合失調症、パニック障害、依存症、発達障害などさまざまな種類があります。同じ病名であっても、人によって症状は異なります。
治療方法についても、薬が効果的な場合やカウンセリングや心理療法が効果的な場合などさまざまです。こころの病気にかかったとしても、多くの場合は治療によって回復し、社会の中で安定した生活を送ることができるようになります。最近では、効果が高く副作用の少ない治療薬も出ているので、以前よりも回復しやすくなっています。体の病気と同じように、治療を受けることが何よりも大切です。
ただし、早く治そうと焦って無理をすると、回復が遅れることがあります。「焦らず、じっくりと治す」という気持ちで臨むことが回復への近道になります。
こころの病気を診る医療機関には、精神科、精神神経科、心療内科などのさまざまな名前が使用されています。各科によって専門に診る病気が異なる場合もありますので、詳細は電話などで受診前に問い合わせされることをお勧めします。
また、医療機関を受診したいと思っても、どのように受診すればよいのか戸惑うことがあったり、突然の受診に抵抗を感じてしまったりすることがあるかもしれません。そんな時はお気軽にさわやか健康課にご相談ください。毎月、相談支援専門員による「こころの健康相談」も実施しておりますので、ご利用ください。
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