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8月は人権文化をすすめる市民運動推進月間(1)

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兵庫県姫路市

■人権の視点から捉えたオリンピック・パラリンピック
この夏、フランスのパリでオリンピック・パラリンピックが開催されます。2021年に東京で開催された同大会(東京2020大会)の公式報告書(以下「報告書」)を基に、オリンピック・パラリンピックを人権の視点で考えてみましょう。

▽平和の祭典
オリンピックは古代ギリシャから始まったとされていますが、現在のような競技大会となったのは、1896年、ギリシャのアテネ大会からです。この大会の開催にあたり、近代オリンピック競技大会を創設したフランスのクーベルタンは「スポーツを通じて個人が成長し、その人々が交流することによって、世界平和がつくられる」という理念を提唱しました。この理念は現在まで受け継がれ、オリンピックは「平和の祭典」として人々に親しまれています。
そして、「平和のないところに人権は存在し得ない」「人権のないところに平和は存在し得ない」と言われるように、平和と人権は深く結び付いています。

▽オリンピック休戦
平和への取り組みとして、「オリンピック休戦」があります。
オリンピック休戦とは、古代オリンピックの故事に倣い、1992年に国際オリンピック委員会(IOC)が提唱し、オリンピック競技大会開会式の7日前からパラリンピック競技大会閉会式の7日後までの期間、世界中で休戦の実施を求めるものです。1993年以降、オリンピック・パラリンピックの開催年ごとに休戦を求める決議が国連総会で採択されています。

▽難民選手団
オリンピック休戦と同様に、平和への願いを表すものとして「難民選手団」があります。
オリンピック・パラリンピックにおける難民選手とは、「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が認定する難民であり、かつ、特定のスポーツにおいて一定の能力を有することをIOC又(また)は国際パラリンピック委員会(IPC)から認められ、参加する選手」のことです。
報告書によると、東京2020オリンピックには29人、東京2020パラリンピックには6人の難民選手が参加。逆境の中でも困難に立ち向かい、挑戦を続ける難民選手の姿は、世界中に勇気と希望を与えました。

▽多様性と調和
東京2020大会の基本コンセプトの一つ「多様性と調和」は、人権との関わりが極めて深いと考えられます。なぜなら「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩」するという考え方が、人権尊重の社会を築いていく上でとても大切だからです。
中でもパラリンピックは、スポーツだけでなく、障害者に対する人々の理解を深め、「『共生社会』を具現化するための重要なヒントが詰まっている大会」として大きな意義を持っています。
私たちはオリンピック・パラリンピックを通して、互いを尊重し支え合う社会を実現するための取り組みを知り、学んでいく必要があるのではないでしょうか。

▽ジェンダー平等
「多様性と調和」に関するさまざまな取り組みのうち、「ジェンダー平等」について紹介します。
ジェンダー平等とは「性別に関わらず、平等に責任や権利や機会を分かちあい、あらゆる物事を一緒に決めてゆくこと」を意味します。SDGsにも、すべての女性に対する差別をなくすことなどを目指した「ジェンダー平等を実現しよう」があり、日本でも重要な課題となっています。
東京2020大会における女子選手の参加割合は、オリンピックが約48%、パラリンピックが約42%で、これは大会史上最高でした。男女混合種目については、リオ2016大会に比べて、オリンピックは9種目から18種目に、パラリンピックは38種目から40種目に増えました。この他にも、大会史上初めて、選手村の総合診療所内に女性アスリート科が設置されるなど、ジェンダー平等に関する多くの取り組みが行われました。
また、開会式の入場行進において、男女のアスリートが共同で旗手を務めた国が多数あったことは、皆さんの記憶にも残っていることでしょう。
さらに報告書によると、LGBTQ(※)であることを公表した選手は大会史上最多となっています。
(※)…性的少数者を表す総称

▽人権尊重の考え方を生かす
オリンピック・パラリンピックにおいては、選手だけでなく、大会を運営するスタッフや会場、大会までの取り組みなど、すべての「ひと・もの・こと」に人権尊重の考え方を生かすことが求められました。このことは、オリンピック・パラリンピックだけではなく、私たちの身近な生活にも生かせるのではないでしょうか。自分自身の言動を、「違いを肯定する」「互いに認め合う」などの人権の視点から捉え直したり、「人権尊重の考え方になっているのか」と振り返ったりしてみませんか。そして、新たな気付きがあったとき、周りの人と語り合い、解決する第一歩をまず踏み出していきましょう。

問合せ:
・人権啓発課【電話】221-2376
・人権啓発センター【電話】282-9801

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