■子育ては心配を信頼に変える旅
成田:不安なあまりに過干渉になってしまう親御さんがとても多いと感じています。私は、心配と信頼は足して100パーセントだと思います。生まれたばかりのときは心配が100パーセントですが、だんだんと一人で立って歩いたり、自分で学校に行けるようになったりして、信頼の度合いが増えていきます。18歳で脳が育ちあがって信頼が100パーセントになったとき、子どもは自分のことも信頼して家から自立していく。ですから親御さんは、失敗するかもしれないけど、なるべく手を放してやらせてみることが大切です。失敗を何回か繰り返すとできるようになる、その作業の繰り返しです。
教育長:5歳のうちの娘では、どのくらいの信頼度が良いですか?
成田:小学校入学時には30〜40パーセント、中学校入学時には50パーセントを超えてほしいですね。
教育長:たまに娘に自分の服を選ばせると、すごく奇抜な組み合わせになるんですよ。そういうのも止めちゃいけないのかもしれませんね。
市長:笑われるかもしれないけど、次はちょっと周りも見て、自分で考えたら、成長になるんでしょうね。親は失敗を恐れずに見守る。
教育長:その余裕を持つためにも、やっぱり睡眠が大切なんですね。
市長:かわいい子には旅をさせろと言いますが、毎日学校に行くのも、冒険の旅に送り出している気持ちで、帰ってきたら、何かいい経験をしていることを喜ぶ。親も子もアドベンチャーをした方がいいですよね。
■本市の子育て支援
市長:親も子も、悩みはたくさんあると思います。2年前に開所したこどもの未来健康支援センター「みらいえ」では、子育てに関する相談窓口を設置しており、子どもを遊ばせながら相談することも可能です。成長期の若者の相談窓口もあり、LGBTQ等の性の悩みも含めて、電話やオンラインで相談できるようにしています。ハード事業としては、アクリエひめじや、現在整備中の手柄山中央公園のスポーツ施設等。トップアスリートやミュージシャンに姫路へ来てもらうことも、子どもたちのわくわく感につながります。子どもたちが何に興味を持っても、自分の個性として生かせるまち。これが姫路市かなと思います。
教育長:学校にはさまざまな教育的ニーズのある子どもたちがいます。それに対応するために、いろんな人が関わることの重要性を、今日改めて感じました。本市では総合教育センターで、保護者の方や子どもたちの相談を受け付けており、学校では先生たち以外にも、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも加わって支援を行っています。
■姫路でわくわくする子育てを
教育長:時には人間関係が狭い範囲でタコツボ化してしまうこともあると思います。SNSの仲間たちに影響を受けることもありますよね。子どもも保護者も複数の居場所を持って、多様な価値観に触れることが大切なのではないでしょうか。教育長としては、相談や交流の場をできるだけ提供して、いろんな子育ての方法や考え方について発信していくことが大切かなと思いました。
成田:特に今の時代、SNSやメディアの中でさまざまな情報が飛び交っていて、親は不安になりやすいですよね。それを支援する仕組みを作っていただけるといいなと思います。また、姫路市は市内病院の小児・周産期救急医療の運用に助力されていると聞いて、感銘を受けました。今は未熟児が増えていますが、昔よりも元気に生まれさせることができるようになってきているので、本当に良かったです。これからも子どもたちのための取り組みをお願いします。
市長:今日は成田さんに、科学的な面から、子育てについて教えていただきました。科学に基づいた情報を提供して子どもの成長を促す。これは行政がしっかりやるべきことですね。食育も体育も知育も、全部が子どもたちの未来につながっています。そういった情報を子育ての当事者としての立場で発信し、学校教育を整えていただきたい。それが久保田智子さんを教育長に推薦した一番の理由です。市民の皆さんにはそういった情報やさまざまな支援制度を活用しながら、姫路でわくわくする子育ての冒険を、楽しんでいただけたらと思います。
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