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「伝統的酒造り」がユネスコ登録 日本酒・発酵のまちづくりに注目

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兵庫県宍粟市

日本の「伝統的酒造り」が12月5日、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されました。今後、日本酒への注目度が高まることが期待されます。
宍粟市には日本最古の酒造りの記録が残っています。市は「日本酒発祥の地・発酵のふるさと」を掲げ、歴史ある2つの酒蔵をはじめ市内の事業者と連携しながら、市の知名度向上や交流人口の増加に向けて日本酒や日本酒造りに欠かせない発酵文化を活用したまちづくりに取り組んでいます。

■「伝統的酒造り」とは
日本に古くから根差してきた日本酒や焼酎などの製造技術を「伝統的酒造り」と呼びます。穀物を原料とする「麹(こうじ)」を使っていることが特徴で、気候や風土にあわせて日本各地で発展し受け継がれてきました。酒造りに携わる杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)がこの伝統的に培われてきた技術に加え、経験や五感を駆使してさまざまなお酒が造られています。

▽日本酒の主な製造工程

各工程はとても複雑で、早朝から深夜まで、発酵の状態を常に確認しながら、温度や湿度、糖度や発酵時間など細かな調整が行われます。

■ORIGIN-日本酒発祥と発酵の起源-

大神(おおかみ)の御粮(みかれい)、枯(か)れて、かむ〔麹のこと〕生(た)ちき
即(すなわ)ち、酒(さけ)を譲(か)まして 庭酒(にわき)を献(たてまつ)りて宴(うたげ)しき

約1300年前の奈良時代に編さんされた「播磨国風土記」の一節。庭田神社(一宮町能倉)で「かび=麹」を使って庭酒を造り、神様に献上したと記述されています。日本で最初の麹の誕生記録ともされ、「日本酒発祥の地・発酵のふるさと」として『発酵のまちづくり』事業がスタートしました。

■『発酵のまちづくり』事業のあゆみ
◆日本酒で乾杯条例
日本酒による乾杯の習慣を広めるための条例「日本酒で乾杯条例」が平成26年に施行。平成29年8月に「最多人数による腕組み乾杯」のギネス世界記録に挑戦。1029人が腕組みしながら甘酒で乾杯し、世界記録に認定されました。(当時)

◆まぼろしの酒「三笑」復活
平成30年から毎年4月に、まぼろしの酒「三笑」の蔵出し式が行われています。約45年前に醸造を終了した造り酒屋の銘柄を市内の酒蔵が現代風にアレンジし復活させました。

◆発酵のまちづくり 協議会設立
発酵文化を生かして産業振興や健康増進に取り組む「宍粟市発酵のまちづくり推進協議会」が令和元年に設立。多様な事業者が連携し、発酵食の魅力発信などが進められています。

○協議会の主な取組
・「発酵のふるさと宍粟」のロゴマーク作成
・庭田神社で採取された麹菌を使った甘酒「にわの糀(はな)」開発
・酒かすグルメを楽しむ「しそう酒粕フェア」の開催
・発酵料理教室・講演会の開催や小学校でのみそ作りの推進

◆発酵食メニューで給食日本一
学校給食の日本一を決める「全国学校給食甲子園」(令和4年)で市の学校給食センターが発酵食メニューで優勝しました。

■蔵元に聞く「今後への期待」
▽「和食」のように日本酒が世界に認知されるのを期待しているのはもちろんですが、その起源が宍粟にあることが市民の誇りにつながるのではと感じています。日本酒は“今”が一番おいしいお酒です。複雑な工程の中でスパークリングなど新たな試みも取り入れながら多様なお酒が造られています。これまで関心のなかった人にも、これを機に“今”の日本酒を味わってもらえると嬉しいです。

壺阪雄一(つぼさかゆういち) 専務取締役
山陽盃酒造株式会社

▽2つの酒蔵がこれだけ近くにあるのは全国的にもめずらしいと思います。日本酒を造る「麹」を使った発酵ダイニングは、県内外の特に女性に人気があり、日本酒や発酵食を通じて交流人口が増加し、まちの活性化につながればと期待しています。日本酒は人と人をつなぐ役割も担ってきました。コミュニケーションにも役立ててもらいながら、おいしいお酒をいろんな人に味わってほしいです。

前野久美子(まえのくみこ) 専務
老松酒造有限会社

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