◆7月下旬から市民説明会を開催
全国的な物価高騰により新病院の建設費用が膨んでいることから、事業費を抑制するため基本設計の内容を一部見直しました。物価高騰の要因として、原油・原材料価格の高騰や円安の進行による建設資材の価格上昇のほか、国内の建設需要の拡大による技術者不足や働き方改革により労務費が上昇していることが考えられます。
今月号では、基本設計の変更内容のほか、現時点での総事業費や開院後の事業収支シミュレーションについてお知らせします。また、これらの内容について、7月下旬から8月上旬にかけて中学校区単位で市民説明会を開催します。
■基本設計の変更内容
設計業者に加え、昨年9月に決定した施工予定者からの提案も取り入れ、医療機能に関わる部分は当初の計画どおりとしたうえで、そのほかの部分について可能な限りのコスト削減に向けた見直しを行いました。
主な変更点として、建物を免震構造から耐震構造に変更し、外壁の部材や空調設備などの仕様を変更したほか、玄関付近のひさしに設置を予定していた木製ルーバーを取りやめています。
▽図1 主な変更内容
・病院棟…免震構造から耐震構造に変更し、同じ構造の会議室棟を一体化
・外壁・空調設備など…機能を落とさない範囲で外壁の部材や空調設備などの仕様を変更
・玄関・駐車場のひさし…木製ルーバーの取り止め
・院内保育所棟…病児・病後児保育機能の取りやめによる規模縮小
※詳しくは本紙をご覧ください。
■その他の変更内容
職員駐車場の車止めの取りやめ、公用車用の車庫をカーポートタイプに変更、屋上キュービクル(受変電設備)の屋根の取りやめ、予備電力の引き込みの取りやめ、ホスピタルガーデンのロングベンチ、健康遊具、ウッドデッキの取りやめ など
■新病院整備 事業費の概算
今回の基本設計の変更に加え、今後の物価上昇を踏まえた現時点の事業費の概算見込額は下記の表のとおりです。
見直しにより事業費の抑制を図りましたが、総事業費は前回の市民説明会(令和5年2月時点)のときから約42億円増の約198億円となっています。なお、表のうちB現時点(見直し後)の内訳に含まれている「物価上昇補正」の区分は令和7年度(予定)に工事請負契約を締結するまでの物価上昇分の見込みとして、「予備費」の区分は工事請負契約以降の変更分の見込みとして事業費に算入しています。
▽表 事業費の内訳
単位:千円(税込)
※今後の社会情勢等により事業費は変動する可能性があります。
◆今後も物価上昇は続く
コンストラクション・マネジメント業務(設計やスケジュール、建設費用の管理について発注者である宍粟市の視点から支援を行う業務)を担う業者の専門的な見解では、「今後の建設市況に関して独自調査を行った結果、建設資材費や労務費の値上がり傾向は続く」とあるため、建設費用の上昇は今後も続くと考えられます。
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