高齢化の影響などにより、判断能力が不十分な人を支える成年後見制度の利用が増える中、権利擁護・地域福祉の新たな担い手として、「市民後見人」の活動が期待されています。市では、誰もが地域で安心して暮らせる地域づくりをめざし「市民後見人」の養成・活動支援に取り組んでいます。今月号では、活動中の市民後見人に話を聞きました。
・市民後見人 飯田里美(いいださとみ)さん
・市民後見人 杉本貴恵(すぎもときえ)さん
■成年後見制度とは?
成年後見制度とは認知症や知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が不十分な人の生活を支える制度です。対象者が自分自身で契約などの法律行為や財産管理を行うことが難しい場合に、対象者の状況に合わせて、家庭裁判所から選任された成年後見人などが援助します。
成年後見人などには、対象者の親族から選任される「親族後見人」や弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家から選任される「専門職後見人」のほか専門機関による養成講座を受講し、一定の知識や技術、姿勢を身につけた人から選任される「市民後見人」がいます。「市民後見人」として選任される人は同じ地域で暮らす住人です。
・成年後見制度についてくわしくはコチラ ※本紙の二次元コードを読み取りご確認ください。
■市民後見人の役割
主な業務は財産管理や身上保護で、ひとりで決めることに不安のある対象者に代わって金銭を管理したり、介護福祉サービスの利用を支援したりします。活動は基本的に対象者が亡くなるまで続きます。対象者と同じ地域に住む「市民」としての特性を活かして丁寧にきめ細やかに対象者の生活を支援します。また、市民後見人の活動が円滑に進むよう、市や専門家(弁護士・司法書士・社会福祉士)が連携してサポートしています。
■市民後見人になるには
市民後見人になるには「宍粟市市民後見人養成講座」(7月〜翌2月・11回)の受講が必要です。この養成講座を受講するための事前説明会が5月29日に市役所北庁舎で開催されます。申し込みや養成講座についてくわしくは福祉相談課(【電話】63-3167)まで。
■市民後見人について活動している2人に聞きました
○市民後見人になろうと思ったきっかけは
[杉本さん]
障がい福祉施設に勤務していて、勤務外でも人助けになることが何かしたいと思っていたときに市民後見人のことを知り、チャレンジしようと思いました。
[飯田さん]
誰かの役に立ちたいと思っていたときに、市民後見人の募集チラシを見て興味を持ち、応募しました。
○市民後見人はどんなことをしますか
[杉本さん]
週に1回、対象者のお宅を訪問して生活費を渡したり、介護サービスの支払いなどをしたりします。ほかにも、ゆっくり会話ができる時間を作っています。
[飯田さん]
市や専門家と連携して対象者をサポートしています。対象者がよく行くお店とも連携して見守りをします。
○活動の中で大切にしていることやうれしかったことは
[杉本さん]
コミュニケーションをしっかりと取って、些細な変化を見逃さないようにしています。対象者から「ありがとう」と、感謝されたときが一番やりがいを感じます。
[飯田さん]
対象者が言ったことに対して、否定をせずに寄り添った言葉がけを意識しています。何回もお話をして、心を開いてもらえた時がうれしかったです。
○今後の意気込みは
[杉本さん]
市役所などと連携し、市民後見人の活動を周知していきたいです。
[飯田さん]
現在、認知症の方の成年後見人をしているので、今年は顔と名前を覚えてもらえるようにがんばります。
○これから市民後見人になりたい人へメッセージを
[杉本さん]
そんなに難しいことではないので、思い切ってやってみてください!
[飯田さん]
人の役に立ちたいという人におすすめです。やりがいがすごく感じられると思います!
■市の担当者からのメッセージ
○「市民感覚・市民目線」それが市民後見人の強み
年々、成年後見制度の利用を必要とする人は増えています。その様な中、市民目線で後見制度を支えてくれる市民後見人は貴重な存在です。宍粟の市民後見人の皆さんは身近な地域住民の立場で、対象者の考えや気持ちを十分な時間をかけて理解し、寄り添いながら後見活動を行っています。私たちは、このような市民後見人の活動をしっかりサポートし、また新たな市民後見人を養成し活動できるようにつなげていくことが役割だと感じています。
◆市民後見人・成年後見制度啓発シンポジウム
・市民後見人活動がまるわかり
「市民後見人・成年後見制度啓発シンポジウム」が開かれます。第1部では神戸学院大学講師の香山芳範(よしのり)さんが「市民が市民を支えるネットワーク」と題して講演します。第2部では活動中の市民後見人の話も聞けます。
日時:3月17日(月) 13時30分~15時30分
会場:宍粟防災センター
申込期限:3月14日
申込方法:専用フォーム・電話から申し込む、または所定の申込書を福祉相談課まで
・専用フォームはコチラ
※二次元コードは本紙をご覧ください。
問合せ:福祉相談課
【電話】63-3167
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