■増え続ける救急出動件数
異常な猛暑や高齢化の進展など、さまざまな要因により救急出動件数が年々増加しています。本市では、新型コロナによる活動の自粛もあり出動件数は一時減少したものの、令和5年には過去最多の1万3千707件を記録しました。これはおよそ40分に1件の緊急出動があった計算になります(表1)。
特に8〜18時の日中に出動が集中しやすく、去年は全体の約6割を占めました(表2)。
表1~3:宝塚市消防本部「令和5年火災・救急・救助概要」を加工して作成
「宝塚市は月曜日の出動が多いんだね」
「平日の日中は開いている病院が多いけど、出動件数があまりに増えると搬送に時間がかかってしまう場合があるよ」
■長引く搬送時間
通報を受けると最も現場に近い救急車が急行します。しかし、通報が重なり近くの救急車を確保できなかった場合、出動場所が遠くなり、到着や病院搬送の時間も遅れてしまいます。
表4:消防庁「救急救助の現況」(平成24年版~令和5年版)を加工して作成
「適正利用にご協力を!」
■平日の日中に特化した機動救急隊
増加する救急需要に対応するため、今年10月に機動救急隊が発足しました。
機動救急隊は従来の24時間勤務制と異なり、特に出動が多い平日の日中に限定して活動します。出動状況に応じて待機場所を柔軟に変更し、救急車の不足を防ぐことで、より迅速に傷病者の元へ駆け付けられるようになりました。
また、救急隊員にとっても働きやすい勤務時間のため、隊員の確保と救急救命体制の強化にも効果が期待できます。
■命を守るプロフェッショナルたち
応急処置を施す救急隊員のうち、医療国家資格を取得し、薬剤投与や気管挿管など高度な救命処置を専門的に行う隊員を救急救命士といいます。国が定める指針では、救急車に乗る隊員3人のうち最低1人は救急救命士とすることが示されていますが、宝塚市では半数を超える隊員が救急救命士の資格を取得しています。
今回、機動救急隊に配属された3人全員が有資格者のベテラン隊員。豊富な経験と専門知識で、皆さんの大切な命を守ります。
■教えて!救急QandA
Q:どうして月曜に出動が多いの?
A:月曜の救急出動の中には、休日に体調を崩したあと平日になるまで気付かれなかった人や、病院が開く平日まで我慢した結果動けなくなってしまった人など、発症から通報まで時間がかかっているケースもあります。
緊急性があると思ったときは迷わず119番通報を行ってください。また、緊急通報システムの登録や消防テレホンガイドも活用しましょう。
Q:救急車が来るまでに用意するものは?
A:自宅から通報した場合、玄関の鍵を開けておくと隊員がスムーズに対応できるほか、健康保険証やお薬手帳、現金、靴などを用意しておくと、すぐに救急車へ向かうことができます。
また、単身世帯の場合、「安心キット」の活用やペットの預け先を決めておくなど、日頃からの備えも大切です。
「もしも」の準備で安心ニャ
Q:救急通報したら消防車が来た!?
A:救急車だけでなく、一部の消防車にもAEDなど救命処置のできる機材を積んでいます。救急車の到着に時間を要する時や、心肺停止など危険な状態が疑われる時は、救急車と消防車を同時に出動させ、迅速な救命活動に取り組んでいます。
Q:通報時にまず伝えることは?
A:指令員が必要なことを順番に質問するので、慌てず、落ち着いて質問に答えてください。中でも、通報時に大切な情報は「発生場所」です。状況によっては場所が特定できた段階で救急車が出動する場合もあります。屋外など正確な住所が分からない時は、交差点の名称や自動販売機に書いてある住所などを探してみてください。
一部の自動販売機には住所ステッカーが貼ってあります
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