■「障害の社会モデル」とは?
○障がいのある人が困るのはなぜ?
「合理的配慮」の話をする上で、避けて通れないのが、「障害の社会モデル」という枠組みです。障がいの捉え方が変わってきたことを理解するために重要な考え方です。
例えば、A駅のホームは高いところにあり、到達するには階段を上がるしかないとします。車いすを使うBさんは、A駅から電車に乗ることができず階段の下で困っています。なぜBさんは困っているのでしょうか。「Bさんは車いすを使っているから、身体に何かの障がいがあって、自分の足で階段を上がれないのだろう」と思うのが、従来からの捉え方です。
一方で、「A駅にエレベーターがないことが問題じゃないのか。お年寄りでも困る人がいる」と考える人もいるでしょう。エレベーターが最初からあれば、Bさんは電車に乗れると考えるのが新しい捉え方である「社会モデル」なのです。障がいのある人が困るのは、身体の一部に医学的欠損があるからだという従来からの捉え方(便宜的に「医学モデル」と呼びます)に対し、階段を上がれない人のことを考慮せずに駅を作ったことに、原因があるという考え方です。
多様な人たちがいるはずなのに、一部の人を切り捨てて社会をつくってきたことを反省し、誰もが排除されない社会をめざすのが「社会モデル」の考え方です。この考えはすでに、障害者権利条約や障害者差別解消法の基本となっています。
次回からは、具体的に差別解消法や合理的配慮について紹介します。
(公財)世界人権問題研究センター研究員 松波めぐみ
問合せ:人権推進多文化共生課
【電話】072-740-1150
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