感性豊かな人・まちづくりをめざして
◆この一年間を振り返って 人権の視点から
早くも師走となりました。年末の風物詩となっているのが、「今年の漢字」です。世相を表す漢字一字が京都の清水寺で書きおろされ、毎年その様子がニュースで放映されます。今年の漢字は何になるのでしょうか。
『ここでは、この一年間の人権に関する事象を取り上げ、それぞれを漢字一字で表してみます。』
『命』《戦争で失われる多くの命》
ウクライナの戦争開始から3年近くが経過していますが、いまだに終わりは見えません。そして、イスラエルのあまりに激しいガザ地区への攻撃。犠牲者は膨大な数となっています。その惨状は目を覆うばかりです。戦争では「祖国のため」「正義のため」あるいは「神のご加護を受けて」という大義を掲げます。やられたらやり返す。互いの憎悪がふくらみ、戦いはエスカレートします。人類はこんな愚かな戦争をいつまで繰り返すのでしょうか。人命を奪うことは最大の人権侵害です。
『賞』《ノーベル平和賞》
日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者による長年の核兵器廃絶運動への評価です。ヒバクシャという言葉は、スシ(寿司)やツナミ(津波)同様、英単語になっています。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ。
日本は世界で唯一の被爆国であり、国民の核兵器廃絶への願いは強いです。しかし、日本政府は国連の核兵器禁止条約には加わっていません。防衛上、アメリカの核の傘下にあるからです。理想と現実政治との食い違いがここにあります。
『刑』《袴田事件 無罪確定》
元死刑囚であった袴田さんの無罪が確定しました。これを機に死刑制度の是非も問われています。死刑制度のある国は、日本を含めアメリカ、中国など55カ国。廃止している国は144カ国です。年々廃止国が増えていますが、日本では現在、死刑肯定論が多数を占めています。「被害者家族の心情を思えば必要」「極悪犯罪は命で償うべき」という理由です。死刑否定派の理由は、やはり袴田事件のような「えん罪の恐れ」です。死刑制度について、あなたはどう思いますか?
『嫌』《ハラスメント》
今年は特に、パワハラ報道がマスコミを賑わせました。パワハラとは、職場での上位職からの圧力(パワー)による嫌がらせ(ハラスメント)です。セクハラは、性的(セクシャル)な嫌がらせ(ハラスメント)です。いずれも、昭和感覚の言動が現在では「アウト」判定となる場合があります。
また、モラハラという言葉もあります。道徳(モラル)に反する嫌がらせ(ハラスメント)で、この中にはパワハラやセクハラも含みます。モラハラは地域や家庭内にも存在します。暴言や執拗な悪口、無視など、相手の人格をさげすむ言動が該当します。
『新』《新規の取り組み》
今年の4月、「障害者差別解消法」の改正がありました。改正点は、事業者の不当な扱いの禁止です。「障がいある人の入店お断り」「介助者同伴でないと不可」などの行為を禁止し、できる範囲での対応を求めるものです。
また、兵庫県では、4月から同性カップルを支援する「パートナーシップ制度」を開始しました。町では今、「部落差別の解消の推進に関する条例」制定に向けて、検討委員会で協議中です。来年度中の条例成立を目指します。
◆お知らせ
人権啓発映画会 「島守の塔」
★参加無料
○12月14日(土)14時30分開会
○市川町文化センターひまわりホール
※詳しくは広報と同時配布した映画会案内チラシをご覧ください。
問合せ:生涯学習課人権教育啓発係
【電話】26-0001
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