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新温泉町文化会館だより

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兵庫県新温泉町

■令和5年度住民交流学習「人権講座」がスタート
文化会館では、同和問題をはじめ、あらゆる差別や人権侵害をなくし、お互いの人権を大切にするまちづくりを目指して、毎年6月~10月の第4水曜日に、文化会館を会場に人権講座を実施していますが、本年度第1回人権講座を6月28日(水)に開催しました。
山本笙二文化会館運営委員長と西村銀三町長の挨拶の後、DVD『ともに生きる私たちの未来~部落差別解消推進法が目指すもの~』を視聴し、後半は人権啓発指導員の河越智子さんのお話で学習を深めました。

■DVD「ともに生きる私たちの未来~部落差別解消推進法が目指すもの~」を視聴
平成28年12月、部落差別の解消を目的とした「部落差別解消推進法」が施行された。この法律が制定された背景には、後を絶たない部落差別がネット社会の中でますますエスカレートし、人権侵害が深刻化している現実がある。「部落差別解消推進法」はこうした部落差別の存在を公式に認め、部落差別のない社会を実現することを目的に、国や地方公共団体に対して、差別解消を推進する施策の実施を求めているところに意義がある。
この作品では、「部落差別解消推進法」ができた背景の現実社会と、ネット上で起きている新たな差別実態を明らかにする一方で、被差別部落にルーツを持つことに誇りと自信をもって活動する若者たちを紹介している。この二つの視点から、ネット社会の中で新たな局面を迎えている「部落問題」について考え、「ともに生きる社会」をどう実現していくのか、私たち一人ひとりに問いかけている。

■河越智子さん(人権啓発指導員)の講話
(1)「部落差別解消推進法」施行
部落差別解消推進法が平成28年12月に施行された。目的は「部落差別のない社会を実現する」ことである。推進法制定の意義は「現在もまだ部落差別が存在する」ことを国が認め、「部落差別は許されない」との法規範を示し、さらには「部落差別解消に関する施策実施」についての行政責任を明らかにしたことである。
行政施策として、推進法第4条に「相談体制の充実」、第5条に「教育・啓発の実施」、第6条に「実態調査の実施」が定められた。

(2)「全国部落調査」復刻版裁判
平成28年2月に示現舎が『復刻全国部落調査部落地名総監の原点』をアマゾンで予約受付した。これに対して、2月10日に部落解放同盟がアマゾンに販売中止を申し入れ、アマゾンは販売を中止。3月22日、部落解放同盟が横浜地裁に出版差し止めの仮処分を申し立て、3月28日に横浜地裁は『全国部落調査復刻版』の出版禁止の仮処分決定をした。
4月19日、解放同盟が東京地裁に『プライバシー権侵害』『名誉棄損侵害』『差別されない権利の侵害』の訴えと『損害賠償請求』を行う。9月27日、東京地裁の判決で「復刻版の出版差し止め」と「ネット上でのデータ配布・二次利用禁止」を命じた。さらに、令和5年6月28日、東京高裁の判決があった。東京地裁判決と同様にサイト削除と出版禁止を命じた。裁判長は『部落差別は、当該地域の出身であるとの理由だけで不当な扱いを受けるものだ』と指摘。『差別を受けずに平穏な生活を送る人格的利益の侵害』を認定した。

(3)西日本に暮らすある女性の言葉
どこが被差別部落かという情報が止めどなく広くネットで検索できるまで知れ渡れば誰がどのような形で差別に悪用するか想像がつかない。ユーチューブにさらされた福岡県内の被差別部落で暮らす70歳代の女性は、動画に自分の家が移っているのを知り「子供たちに申し訳がない」と漏らした。故郷を卑下しているのではない。かつての厳しい差別を知っているが故に、息子や孫のことが心配でならないのだ。「もう、ここには寄り付くなというべきか」とまで思い詰めていた。

(4)国・地方自治体の取り組み
平成30年12月、法務省通知があった。内容は「同和地区の識別情報(所在地)の摘示(暴露)は人権侵害であり、削除対象として対応」「『○○地区は同和地区である(あった)』などと指摘する識別情報の摘示は差別の助長・誘発目的である無しに関わらず、原則として削除要請等の措置の対象とすべき」である。地方自治体の取り組みとして、全国200以上の自治体でモニタリングが実施されている。その結果、5年間で7,706件の削除依頼がなされ、内4,219件が削除された。
また、多くの自治体で、「部落差別解消推進条例」が制定されている。

(5)今後の取り組みについて
1)本人通知制度への登録の推進
2)ABDARC(アブダーク)が「被差別部落をさらす動画をユーチューブは削除して!」のオンライン署名
3)「部落差別解消推進条例」の制定と「人権関連条例」の改訂
4)「部落差別解消推進法」に差別行為を禁止する規定を加える等の法整備が急務
5)SNS事業者の差別投稿に対する自主規定などが急がれる。

問合せ:新温泉町文化会館
【電話】82-3328

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