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農業委員会情報No.150―農業委員会視察研修レポート

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兵庫県新温泉町

農業委員会では資質向上のため例年管外視察研修を実施しています。
令和元年度以降、新型コロナウイルスの影響で実施できませんでしたが、本年度は8月3日に広島県山県郡北広島町、4日には同県庄原市を視察しました。今回は小谷正美会長が報告します。

■広島県山県郡北広島町岩戸 株式会社大朝農産
北広島町大朝地区は、中国山地の稜線を境に島根県と接し、標高480メートルの8割は森林で水田面積は564ヘクタール、圃場整備は平成16年度に終了している(整備率95%)が、1区画は16・6アールと狭い特徴があります。
平成12年以降、集落法人の設立が相次ぐ一方で、大型農家、農業生産組合が目的別に組織を立ち上げ、作業受託を行っていたため、一部経営体に過度作業が集中し、作業適期を逃したり収量や品質の低下を招く恐れが出てきました。
そこで、作業時期の調整や受託者の適正な配置による効率的な生産を目標として、平成15年に「大朝町集落法人ネットワーク」を立ち上げることになりました。
これにより、問題解決が図られ、更に集落法人と大型農家の意思疎通が円滑になり共通的な問題解決に向けた新たな取組もうまれました。
(1)コメ袋の共通化生産者が思い思いの袋で出荷していたが大朝産米をPRするため米袋のデザインは「おおあさ米」に統一し、独自に販売ルートを開拓。
(2)省力化・品質向上へ向けて、大型機械の共同購入・共同利用ドローンを導入し受託事業を開始した。

■大朝農産の主な取組(大朝農産への集積率は50%)
コシヒカリに偏重していた水稲作付け体制の見直し、内外の情勢・需要に応じて多彩な水稲栽培に切り替えました。
(1)米粉用米として「ココノエモチ」を和菓子メーカーと契約。冷凍炒飯用として従来利用されていた品種を加工用米として復活して販売。
(2)市場の評価の高い大朝産コシヒカリを、土づくりや減農薬・肥料にこだわった特別栽培法で作り、収益性の向上と市場の人気は上々で栽培面積も拡大となっている。
新温泉町も、国の施策が目まぐるしく変わる中、行政、関係機関・各種法人・集落営農組合、担い手等と連携し、農機具、生産資材の共同購入と共同利用、共同販売・農作業受託のネットワークの検討を行うことが必要と改めて感じました。

■広島県庄原市小用町 庄原市高堆肥センター
庄原市の高地区は、広島県の北部で、1200メートル級の山々が連なる中国山地のふもとに広がる盆地で標高250メートルの平坦地からなる中山間地域で主要作物は水稲、野菜、畜産となっているが、特に企業化が進んだ養鶏(43%)、養豚(18%)の産出額が大きくなっています。
高齢化による担い手不足が問題となり、低コスト稲作、農地の有効利用のため広域的なエリアでの地域営農づくりを目指して高地区営農集団連絡協議会を設立、平成9年に協議会が主体となり5つの営農集団と酪農協業組合により「高堆肥センター」を設立しました。
堆肥センターにおける日常の管理は専任の職員が行っています。牛フンの搬入は酪農家が、散布は作業部が労務調整して各営農集団から専任されたオペレーターが行っています。稲ワラ収集も行っており、コンバインで刈り落とされたワラを反転、乾燥させてロールベーラーとラッピングマシーンで収集、梱包し近隣の和牛農家に販売を行っています。
堆肥は11月から4月にかけて約65ヘクタールの水田へ1400トンを散布しています。高堆肥センターは、耕種農家が主体となり長年継続していますが、運営の課題もあり、設立当初5戸の酪農家が2戸(廃業)に減少となり散布に必要な堆肥が不足となり現在は地域外から不足分を購入しています。
新温泉町も耕畜連携強化を進めるためには、耕種農家、畜産農家の連携強化が重要です。双方のメリットを考慮の上、堆肥センターの整備を含めた検討が必要です。また、肥料価格の高騰から家畜ふん堆肥の関心が高まっており、資源として有効活用することが早急に望まれます。

問合せ:農業委員会
【電話】82-5626

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