文字サイズ
自治体の皆さまへ

野草散歩(155)

20/47

兵庫県新温泉町

■カガノアザミ(キク科)
渓流の岩場で水飛沫を浴びながら揺れているカガノアザミ。引き締まった総苞片(そうほうへん)の先にふんわりと細い花弁を広げ、うつむいて咲く淡紅紫色の小さな頭花。このアザミの名前が確定した時の嬉しさは格別でした。アザミの仲間は見分けが難しく、わが町にもオハラメアザミ、ヨシノアザミ、ホッコクアザミ、アシュウアザミなど多種のアザミが自生していますが、長い間、それぞれの名前がよく分からないままでした。一つ一つ博物館に送っては名前を教えていただき、春の芽出しから開花、根生葉(こんせいよう)が枯れていく様子など、折々に気を付けたりして何年も経て、やっと納得できる特徴を掴めた一つがカガノアザミでした。
カガノアザミ(加賀乃薊)はキク科の多年草で、茎の高さは150~200cm。花時根生葉は無く、茎に毛はありません。葉は長さ30~50cmの長楕円形で中裂、下部に付く葉は大きく、縁に3~5mmの刺(とげ)を持ち、茎を抱いています。花は茎の上部で分枝した長い柄の先に頭花(アザミの花)を下向きにつけ、総苞(花の下の台座の部分)は幅1cmの筒状で総苞片は白いクモ毛と呼ばれる綿毛で縁どられ、ほぼ圧着しています。
図鑑によるとカガノアザミの分布は新潟県から京都府までの日本海側とありますが、兵庫県でも上山高原や畑ヶ平林道沿いなど、少し標高の高い場所で自生しています。
アザミは交配を繰り返すので、別の場所で似たようなものを見かけても、未だ種(しゅ)を確定できないものがあります。それもまた、今後の楽しい課題として付き合っていきたいと思います。
文・写真 中澤博子さん

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU