文字サイズ
自治体の皆さまへ

野草散歩(152)

26/47

兵庫県新温泉町

■ノハナショウブ(アヤメ科)
町の南側に位置する上山高原では、涼しい風が吹きわたっています。車窓を全開にして思いっきり空気を吸い込むと気分も爽やか。紫色にかすんだ山々も、古くから見慣た風景です。でも、かつて見られた道沿いのギボウシやツリガネニンジン、カキランにイチヤクソウ、シラヤマギクやオミナエシの花々は消えています。よく見ればススキも何かしらまばらな感じです。草が生えているのは緑色のネットと柵に囲まれた数か所だけ。それは絶滅危惧植物の保護活動を続ける有志団体の保全個所です。その中の一つ、イベント広場手前のネット柵はノハナショウブの保護地です。
ノハナショウブ(野花菖蒲)はアヤメ科の多年草で、ハナショウブの原種で、兵庫県のレッドデータブック(絶滅危惧植物)ではCランクに指定されています。葉は幅5~12mm、長さ30~80cm。葉の中心に中肋(ちゅうろく)と呼ばれる太い膨らんだ筋があります。花茎(かけい)は高さ40~100cmで茎頂に赤紫色の花を2,3個、順々に咲かせます。花は直径10cm、花びら3枚は開出(茎に対して90度に開く)、先が垂れ下がり、基部に黄色いすじがあります。基部から花びらに沿って雌雄のしべが伸び、雌しべの先は2深裂しています。中心の3枚の花びらは細い楕円形で直立し、高さ4cmほど。苞葉(ほうよう)は緑色で向かい合って茎を抱き、種はさく果で長さ3cmほど。図鑑によると、牛馬が食べないことから牧草地などで群生する、と記述されていますが、鹿は牛や馬よりも草木を選ばず大食で、一頭あたり3キロ食するとか。1年では1トン。町民の数より鹿の数が多いと言われるわが町はどうなっていくのでしょうか。

文・写真 中澤博子さん

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU