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野草散歩(167)

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兵庫県新温泉町

■ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)
近年、秋の山道は鹿の食害痕のある枯れ草やススキなどのイネ科植物が目立ちます。低木やシダ類の緑はあるものの、よく見れば鹿の忌避(きひ)植物です。先日、秋の山へ出かけた折、道端で黒紫色の実を無数に垂らしているヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)の群生に出合いました。
赤い茎と濃紫色に熟した実をたわわに付けた大きな草株は、いかにも有毒らしい雰囲気が漂っています。初めて見る人には好奇心を招く危険な実です。事実、これをブルーベリーと間違えて食した人がおられるとか。きっと緊急事態に陥り、救急車のお世話になったに違いありません。ブルーベリーがどんな木に、どんなふうに実っているか知らないまま、スーパーでパック詰めして販売されたものしか見たことがない人には、間違えるかも知れない形状をしています。
ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科の多年草で、北米原産の帰化植物で、日本へは明治時代に移入してきました。草丈は1.5m前後、茎は赤みを帯びて太く径5cmほどもあります。葉は長楕円形の卵形で長さ10~30cmほど、葉先は尖っています。枝先に十数個の小花を穂状につけ、穂先は垂れています。小花は白色5弁花でわずかに紅色を帯びて径5mm、子房(しぼう)(種のある袋)は扁球(へんきゅう)形で若いうちは緑色ですが、熟果は黒紫色で径3mm。つぶすと紅紫色の液が出ます。
似た植物にヤマゴボウがありますが、穂先は垂れません。因みに「山ごぼう」の名前で食品として販売されているものは全く別もので、キク科のヤマアザミの根を加工したものです。身近な存在の野生植物ですが、有毒無毒にご注意を。

文・写真 中澤博子さん

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