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野草散歩(158)

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兵庫県新温泉町

■ニシノホンモンジスゲ(カヤツリグサ科)
冬の最中にある2月ですが、春が待ち遠しく、スミレやハコベに混ざって、いろいろなスゲが陽光の中で風に揺れている姿が目に浮かびます。
スゲ属はカヤツリグサ科の多年草で、世界で2,000種、日本国内では210種が確認されていますが、種類も多く、判別も難しいことで知られている植物です。印象深いスゲの一つに、日本の固有種で新潟県から山口県にかけて日本海側に自生するニシノホンモンジスゲ(西の本門寺菅)があります。名前の由来は、東京都池上の本門寺(ほんもんじ)という寺院の敷地で発見されたことから名づけられたホンモンジスゲを基として、葡萄枝を持たない種が日本海側で確認され、ニシノホンモンジスゲと命名されたということです。本門寺スゲの仲間は他にも幾種かあり、地域によって特徴も微妙に変化しているそうですが、わが町のものは、葡萄枝を持たないのでニシノホンモンジスゲと同定されています。
性質は夏緑性(かりょくせい)で冬は枯れますが、多年草なので毎年同じ場所から芽吹きます。草丈は花時、花茎が30~50cmで葉もほぼ同長かわずかに長く、葉幅は3、4mm、葉先はざらつき垂れています。葉や茎は叢生(そうせい)(一か所から沢山出る)して大株を作り、根元には暗褐色の鞘があります。開花は3、4月頃、穂は薄黄色、果実は5月頃ふくらみます。頂穂は雄性で2~3.5cmの線柱形、側小穂は雌性で2~4個がやや離れて付き1~3cmの円柱形をしています。果実は長さ2mmほどと、それぞれ誠に小さなものですが、細い葉が茂る真中に、薄黄色の花群れが美しいユニークな名前のニシノホンモンジスゲです。
文・写真 中澤博子さん

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